見出し画像

【フランスで社会学】試験結果と進級可否

フランスで大学2年生をやっている社会人留学生が書いています。


4月下旬に全てのテストと課題提出が終わると一旦肩の荷が下りる。可処分時間の全てを机に向かっていた日々から解放される瞬間は前期と後期の年2回やってくるけれど、いつも「これでもう何にも追われないでいいんだ」という安心感を抱く。

結果が出るまで1カ月待つ。後期のテスト及び課題提出の結果と、前期の結果も合わせた点数の平均が進級ラインに達しているかどうかの二つが5月下旬にウェブで発表される。私が通うフランスの国立大学は、進級のためにはフル単しなければならない。60単位がそのラインで、授業はピッタリ60単位分しか取れない。1年生で多めに取るとか、この授業は捨てのつもりだったという考えは存在しない。

一つも単位を落とせない代わりに、前期と後期の点数は同じカテゴリー内で合算されその平均が最終的な点数となる。社会学基礎、調査・プレゼン技法、選択科目といった具合に種類によって講義は5つのカテゴリーに分類されている。例えばカテゴリー1において、前期は合格点に達しなかったとしても、後期にそれを補う点数を取れば追試を受ける必要はない。フランスの大学の評価は20点満点でその半分の10点を取れば合格である。

万が一、進級条件の60単位に達しなくても全ての講義に追試が用意されているので即終了ではないところが優しい。机での筆記テストから課題提出まで教授によって追試内容は様々だ。ある大学教授は「追試は多少、採点が甘くなるのよね。でも、そもそも追試に来ない生徒が一定数いるわね」と言っていた。だから卒業時には生徒の数が6割ほどに減る学部もあるのである。

フランスで2年間、文系の社会学徒をやってみて思うのは、大変高度な知識や技術は求められないものの、大学生だったらこれくらいは当たり前にできてちょうだいね、の当たり前のラインが高めだよな、ということ。1年生の時からグループでプレゼンしたり、論文を何本も読んだり、レポート10ページ書いたり、課題がどんどん降ってくる。私は言語のハンデがあるのでネイティブよりもしんどい思いをしているはずだけれど、どの学部の人も「進級できるように頑張ろうね!」とお互い強く願い合うくらいに、進級するのは簡単ではないものだった。

5月31日、メールで通知がくる前に何の気なしに結果のページを見てみたら「ADM(Admis)」の文字が飛び込んできた。晴れて追試無しで2年生に「合格」した。この喜びは、高3の夏にD判定だった大学に滑り込みで合格したような感じで、1年生の時も、2年生の前期も同じように嬉しかった。毎年、大学受験をしているようでとても疲れるけれどその分確実にフランス語でできることが増えていて「頑張ってよかったなぁ」という余韻にしばらく浸れることが留学生活の醍醐味の一つである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?