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学びを活かす一時帰国計画

フランスの大学の2年目を終えた社会人留学生が書いています。


「自分の中にあったモヤモヤを消せればそれでよかった」ということが、2年間フランスで大学生をやって、私の欲望がほぼ全て満たされたことで分かった。フランスで勉強し直すのが夢だった。その先の就職をフランスで絶対したいとは出発前は思っていなくて、私の目標はまず第一に学ぶことだった。大学での勉強を2年間全力でやると、勉強したかったのに満足にできなかった(社会人に時間はない)葛藤がほぼ消えた。もちろん、卒業する年の3年生の授業も楽しみだし、ここまできたらフランスの学位はほしい。そもそも学ぶことに終わりはないから、状況が許せば修士まで勉強したいので、フランスの大学生という身分はまだ続く。でもそうした社会的カテゴリの枠外で考えると、2年目が終わった今、充実感でいっぱいなことに気づく。卒業まであと1年ある学士2年生を終えたことは、世間的には中途半端で大して評価されないと思うけれど、私が30年弱生きた中で見つけた本当に叶えたいことが無事叶って、いろいろなことが軽くなった。もう十分だから日本の田舎で静かに生きていこうとは全く思わないけど、手に入れたかった能力がある程度身に付いて満足している。これは私が健康であったからできたことだし、家族もそう。私が何の心配もせず自分の生活だけを考えればよかったことに改めて感謝したい。この旨を両親に伝えて、「いい人生だった」と言ったら逆に心配されてしまったようで「まだこれからじゃない」と返された。それは十分わかっているし、学んだことを活かした仕事ができるように行動していくつもりだけれど、そうした次元とは別の、後悔しない生き方の第一関門を突破できて満足している状態にあることが言いたかった。「悔いなく生きよ」と人は言うけれどそれって難しい。なぜなら後悔しないためには本当にやりたいことは何かをまず見定めることが必要で、私はそれに気づいて行動に起こすまでに12年ぐらいかかった。本当に必要なものはシンプルで、なかなか見つからない。

両親と電話した翌日、また電話がかかってきて、日本行きの航空券をプレゼントしてくれると言う。私が疲れているのではないかと心配してくれたらしく、その優しさに急に日本が恋しくなって、2年ぶりに一時帰国することにした。東京で過ごす間に会いたい人たちを思い浮かべ連絡を取る中でふと、東京で通っていたフランス語の読解クラスのことを思い出した。毎月フランスの新聞記事を精読し、受講者や先生と意見を交わしたあの日々は会社員生活の中で唯一、頭を動かせる場所だったな、と。あのオンラインではない場所にもう一度行きたい。でも残念なことにそのクラスは現在閉講しているので、それならば自分が主催しようと思い立った。どうせやるなら2年間の学びをアウトプットできるものにしたい、ということで2年生の授業で教わった議論の方法を東京で再現することにした。あるフランスの新聞記事を出発点に、一つだけ問いを立て、それについて参加者全員で議論する。早速、簡単なプレゼン資料を用意し、会場を押さえ、フランス語の関係者に相談したら良い返事をもらえたので、夏のイベントに向けて準備を進めている。思いついたら行動する。そうするとまた新しい道が拓けてくることは留学したことでよく分かったから、今年の夏は日本でもそれをやってみる。

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