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老子の「不争」と仏教の「不戯論」

老子の哲学において、「不争」(ふそう)は重要な概念の一つです。老子が著した『道徳経』(あるいは『老子』)には、争わないことで得られる調和や平和について多くの教えが含まれています。「不争」の哲学は、個人の生き方から社会全体の在り方まで幅広く適用されます。

老子の「不争」の哲学

  1. 柔弱勝剛強(じゅうじゃくしょうごうきょう) 老子は「柔よく剛を制す」という言葉で、柔軟さと謙虚さが強さに勝ると説きました。これは、争わないことで自然に相手を凌駕する力を持つという考え方です。

  2. 無為自然(むいしぜん) 老子の無為自然の教えは、自然の流れに身を任せて無理に事をなそうとしないことを勧めています。無理に争うことなく、自然な状態を保つことで調和が生まれると考えました。

  3. 以徳報怨(いとくほうえん) 悪意に対しても徳をもって返すことで、争いを避ける方法を示しています。これは、敵対的な行動に対しても対抗せず、善意で応じることで平和を保つという哲学です。

  4. 天下皆謙(てんかかいけん) 「不争」の実践により、全ての人が謙虚であれば、争いは生じないという考え方です。謙虚であることが、争わないことの基本であり、それが社会全体に広がることで平和が実現されます。

実生活での応用

  • 人間関係における不争 争いを避け、他者を理解し受け入れることで、より良い人間関係を築くことができます。意見の違いや対立があったとしても、相手を尊重し、協調的な姿勢を持つことで問題を解決できます。

  • ビジネスにおける不争 競争が激しいビジネスの世界でも、無理に他者と争うことなく、自分の道を進むことが大切です。競争に巻き込まれず、自分の強みを活かして独自の価値を提供することが成功につながります。

  • 自己成長と不争 自分自身との闘いも避けるべきです。自己否定や過度な自己批判をやめ、自分を受け入れ、自然体で生きることで心の平和を保つことができます。

結論

老子の「不争」の哲学は、争いを避けることで調和と平和を実現する教えです。個人から社会全体に至るまで、この哲学を実践することで、より良い世界を築くことができるでしょう。


「八大人覚」(はちだいにんがく)は、仏教の重要な教えの一つで、修行者が心得るべき八つの重要な覚りの項目です。その中の「不戯論」(ふけろん)は、特に口論や無益な議論を避けることを指しています。これを簡単に説明します。

「不戯論」の説明

**「無益な議論を避ける」**ということです。
以下のように具体的に説明します:

  1. 口論を避ける

    • 不必要な口論を避けることです。人と無意味に争うことは心の平安を乱すだけでなく、相手との関係も悪化させます。

  2. 無駄な議論に時間を使わない

    • 結論が出ない議論や、ただの言い争いに時間やエネルギーを費やすのは無駄です。建設的な議論や対話に集中しましょう。

  3. 平和な心を保つ

    • 無益な議論や口論を避けることで、心の平和を保つことができます。心が穏やかであれば、日常生活や修行に専念しやすくなります。

例を挙げて説明

例えば、友人と映画の好みが違うとします。その時、「自分の好きな映画の方が絶対に良い」と言い争っても、お互いの好みは変わらないし、友人関係が悪化するかもしれません。こうした無益な議論を避けるのが「不戯論」です。

また、職場での会議でも、何度も同じ話を繰り返して結論が出ない場合、議論を続けるのではなく、別のアプローチを考えるか、一旦話を打ち切ることも「不戯論」の実践です。

まとめ

「不戯論」は、仏教の教えで、無益な議論や口論を避けることを意味します。これにより、心の平和を保ち、建設的な対話や行動に集中できるようになります。争わず、無駄な議論に時間を費やさず、穏やかな心で日々を過ごすことが大切です。


老子であれ仏教であれ、いかに争うことが不毛かを説かれています。わたしは、今までの人生で何度も口論をし、そのたびに互いに不愉快になることを経験してまいりました。その反省に立って、今日は率直な感想としてこの記事を上げました。

ご覧頂き有難うございます。
仲良くしてください。
念水庵


参禅堂の進捗状況(5/23撮影)


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