シンプル仏教(3)
三回目の今日は、最も重要な「変わらぬ真理」を端的に説明いたします。
この理法が腹落ちすれば、ずいぶんスッキリすると思います。
ぜひ最後までご覧いただきたいと思います。
四聖諦:四つの聖なる真理
苦諦(くたい) :苦しみの認識
集諦(じったい):苦しみの原因
滅諦(めったい):苦しみの消滅
道諦(どうたい):苦しみの消滅方法
仏教の目的は、人生の苦しみの原因を消すことです。
いたってシンプルであります。
仏教に関する複雑で余計な知識が増えると本質を見失います。
苦しみの原因を消す方法が(八正道と呼ばれる)道徳です。
ただし身勝手な信条や信念などではありません。
宇宙の理法にかなった正道であります。
宇宙の理法とは、厳格な優しさです。
自分さえ良ければ、自分が幸せでありさえすれば、といったワガママではありません。いつも人の幸せを心から願っている尊い優しさです。
これを仏教では慈悲、キリスト教では愛といいます。
これがキレイゴトに聞こえるようじゃ苦しみは尽きません。
心と身体の健康法ではないのです。
苦しみを消す方法は、慈悲に裏打ちされた智慧の生き方であります。
「智慧の生き方」が八正道なのです。
八正道:道諦
苦しみの原因がわかれば、この原因を取り除けばよいわけです。
これが八つに分けてブッダが教えられた苦しみの消し方であります。
漢訳された文字(左)ではわかりにくいので、普通の熟語(右)に替えてみました。この方が実感としてつかみやすいと思います。
正見(しょうけん):正しい見解
正思惟(しょうしい):正しい思想
正語(しょうご):正しい言葉
正業(しょうごう):正しい行動
正命(しょうご):正しい生活
正精進(しょうしょうじん):正しい努力
正念(しょうねん):正しい注意
正定(しょうじょう):正しい集中
下図は、わたしのオリジナル「八正道マトリックス」です。
マトリクス図にしたのは、目標設定が明確になるからです。
現代の曼荼羅(まんだら)と個人的に捉えております。
それぞれの意味は、ウィキペディアなどで調べてみてください。
肝心なことは、これらの実践です。
今日は、正定(サマーディ)すなわち集中を取り上げます。
正定を「心の統一」とかに訳すと、途端にワケがわからなくなりませんか?
「集中」あるいは「集中力」が一番原意に近いと思います。
例をあげて説明してみましょう。
車の運転(自転車でも同じです)をイメージしてください。
運転が慣れていないときは、放って置いても集中せざるを得ません。
ガチガチになっているかもしれません。
ところが慣れた頃が一番危ないといいますよね。
事故を起こす確率が高くなります。
注意が散漫になるだけでなく、運転の恐怖を忘れがちになるわけです。
そして何度か痛い目に合うと、優しさが身についてきます。
家族が心配して「気をつけて」といいます⇒注意(念)
「行ってきます」と玄関を出たときから⇒集中(定)
このように注意と集中は相互に関連しています。
この注意と集中の練習によって「見解」が見直されます。
正しい見解のことを端的に「見」と申します。
この図表の意図するところはずばり「優しさ」です。
人間は優しくなるように努力していく動物だと思っています。
まずは自分に優しくなりましょう。
だれよりも大好きな自分を優しくする努力を「精進」と申します。
具体的には、よその子が泣いているときにどう思うかです。
わが子のように声をかけてあげられるかどうかです。
自分のことを忘れて、人のために努力できるかどうか。
自分にできることをやるか、やらないか。
全部、自分に言い聞かせていることです。
八正道は、苦しみを消す具体的な方法だと信じております。
これが信心であり、真理だと思っております。
単なる心と身体の健康法ではない由縁であります。
ご覧頂き有難うございます。
念水庵 正道
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