放課後シンデレラ 感想
こんにちは。
突然ですがギャルゲーってやったことありますか?
一般的にはアドベンチャーゲームと呼ばれるカテゴリーのゲームで、その中でも特にキャッチーなシナリオ、良い感じのBGM、演技が上手い声優さん、そして何より可愛いキャラデザの女の子とイチャイチャするなど、これだけ揃って面白くないわけがないという要素がふんだんに詰まったものを特にこう呼ぶことが多いようで、キャラゲーだったり美少女ゲーと呼ばれることもあります。
一言でいうと特定の女の子の好感度を上げて頑張って付き合う!というやつですね。
その中でも今回は「放課後シンデレラ」を初めてプレイしました。
数年ぶりに更新したのがギャルゲー(本作品をここではこのカテゴライズで呼びます)の感想か?というのはあるのですが、ゲームの性質上回りに語れる人が全くいないため、我慢できずこちらで感想を吐き出そうと思った次第です。
簡単なゲーム概要
放課後の下校時間を通してヒロインと仲を深めて行くのが主題になっているゲームです。
・・・めちゃくちゃ珍しいですよね。
私が知っている限りになりますが、この手のゲームで多いのは異世界とか魔法とかタイムリープとかが出てくるファンタジー系や、日常系であっても部活動などの学園生活を通じて仲を深めるといった内容が多い印象です。
しかし、この放課後シンデレラは学園にこそフォーカスされているものの、ヒロインとのイベントは下校時間がメインになっています。
そのためリアル感といいますか、あれこれ想像できる解像度がやたらと高いんですよね。想像というか「あー現実でもこういうことは本当にあるんだろうなあ」という妄想というか。
アドベンチャーを求める方には少し物足りない可能性がありますが、所謂キャラゲーという観点では絵の綺麗さなども踏まえるとめちゃくちゃ完成度が高いというのが率直な感想です。
それでは、以下めちゃくちゃネタバレも含んだ内容で私が攻略した順で個別ルートの感想です。
なお、退っ引きならない事情によりPS版(コンシューマ移植版)でのプレイになります。
長南 陽佳
正直1番初めに選んでしまったことが悔やまれるレベルで最高でした。
この手のゲームでは必須の幼馴染キャラですがその上で、昔は静かだったが久々に再会するとギャル化していた・ツンデレっぽい・妹プレイ可・でも根っこは昔と変わらずとても優しい娘、と。
もうスタンディングオベーションしたくなるほどに属性が乗ってますよね。
主人公とは幼馴染であるものの、主人公の引っ越しによりしばらく離ればなれになってしまうのですが、高校2年生になってその街に帰ってくるという設定で全体の共通ルートが始まります。
その際に主人公は陽佳の変貌ぶりに最初気付かないのですが、陽佳は一瞬で気付き、その時点で幼馴染のアドバンテージが発生してますよね。
そこからは幼馴染の距離感で少しいじってみたり、気軽に話してみたり、お出かけしたりとするのですが、やはりこの「幼馴染の距離感」というのがもうじれったい!とツッコミたくなるレベルで甘いです。甘々です。
告白シーンも幼馴染ならではでしたし、終盤に再度家庭の事情で離れてしまいそうになったシーンでの感情の爆発は本作品随一の見どころではないでしょうか。
このゲームの良いところの一つとして、各キャラのバックグラウンド設定がちゃんとしていると思ってまして、陽佳がギャル化していた事情にもガッツリと触れられていて、それが満足度アップにも繋がっていると思います。
ただ昔は大人しめだった幼馴染がギャル化していました!だけで終わるとそれはもうただのキャラゲーというかシナリオもくそもないですよね。
その変化をちゃんと描写し、また内容的にも全ては陽佳の主人公に対する好意に起因するという事実があることで、上記の感情爆発シーンにより没入感が生まれたと思っています。
あと、大体どのルートでも陽佳が幼馴染ヅラ(正妻ヅラ?)を醸し出してるのがジワジワきます。
陽佳ルートをプレイしてからだと、他ルートでの陽佳は脳が破壊されてるのでは?と思わずにはいられず、全ルートプレイしたあと陽佳ルートだけ2周目をしました。
個人的に一番好きなシーンは付き合った後に陽佳の自宅で勉強会をするシーンです。
部屋着イベントというのはもちろんそうなのですが、昔はメガネだった陽佳が自宅では今もメガネをかけてるんですよ。
主人公は昔の陽佳をよく知ってますし、メガネ姿も可愛いし似合うと言うのですが本人は「絶対に嫌」「他の人には見せたくない」「あなたにしか見せない」と言います。
主人公としては「ああ、彼氏にしか見せたくないのか」と理解するのですが、陽佳は即座に
「彼氏にも見せないわよ」
と言い放つんですね。
もうね、この幼馴染は何なんだと。無事彼氏彼女の関係になってるのですが、陽佳から見ると彼氏であると同時に唯一の幼馴染なんですよ。その事実は揺るがないのです。
その姿はたとえ彼氏であっても見せたくない、君(主人公)以外には見せたくないという明確な意思表示ですし、この一言で陽佳の主人公に対する思いの特別さが本当によくわかるシーンだと思います。
宇佐川 雪子
先輩キャラになるのですが、めちゃくちゃ可愛いです。
「宇佐川雪子はウザかわいい」がキャッチコピーになってますが、「先輩×ウザかわいい」がこれほど相性が良かったとは。
私は陽佳ルートからプレイしてしまったためプレイ時点では陽佳としか比較できなかったのが本当に心苦しかったのですが、陽佳が陽佳でなければダントツで雪子が好きでした。なのでダントツ2番です。
雪子先輩(こう呼びます)の主人公に対する接し方がまあそれは慣れ慣れしい感じで、からかい上手な雪子さんという感じなのですが、いざ主人公を好きになって告白しようと思った際にそのキャラがネックになってしまうギミックは上手いなあと思いました。
シナリオ自体もやはり先輩ということから、卒業という話題や幼馴染である陽佳への嫉妬というシーンもあり、からかい上手なのにしおらしくなるといったギャップが本当に可愛いです。
これは先輩ポジションのヒロインがするからこそいいのだと個人的には思っています。
だからこそ、プレイする人の好みの差も大きいのではと思います。
シナリオも面白いのですが、どちらかと言えばキャラを満喫するタイプです。
ところで、雪子先輩の声優さん、演技めちゃくちゃ上手くないですか?
雪子先輩視点でのモノローグで「ぬおおおぉぉぉぉぉぉ」と悶えているところが特に最高でして、他にも明るい気持ちのときと暗い気持ちのときの抑揚の差とかが、本当に雪子先輩が存在するのでは?と思わされる雰囲気でした。
あとは、シナリオ中でも触れらていましたがなんちゅうスタイルしてるんだと。
PS版のためアレなのですが、公式サイトのギャラリーや他の方のレビューを見ると特に雪子先輩や陽佳の某シーンが見たくてそのために原作を買い直すかを真面目に検討しています。
王城 茉莉愛
ガチのお嬢様です。あとは私が好きになりがちな銀髪キャラです。
茉莉愛はどうやら隠しキャラの位置付けのようで、シナリオ上もゴローの占いを見ないとなかなか出会えない、そんなキャラになっています。
そういった背景からか、シナリオ自体も他キャラに比べだいぶ特殊です。というか色んな意味で笑いました。勢いというか。
「主人公ヒモ化」がこのシナリオのほとんどだと思いますが、それをある種のファンタジーというか、「お嬢様キャラの突拍子もない暴走」を創作物だと割り切って楽しめるかどうかが茉莉愛ルートの肝だと思います。
ちなみに私は陽佳ルートで言及があった「昔主人公と陽佳の二人で迷子を助けたことがある」はずっと茉莉愛だと予想してたのですが、それは見事に外れました。
結果的には後述の多乃実がそうだったのですが、そちらのシナリオのほうでは「助けられたことがある」という事実開示のみで主人公と陽佳がそうであった種明かしまでは結局されなかったので、そうであれば茉莉愛にしたほうがシナリオ上はいろいろ綺麗だったのでは?と思いました(不満とかではないです、念のため)。
キャラ自体は他ヒロインと遜色なくとても可愛く、「敬語キャラっていいな」と再認識しました。あと銀髪ですし(2回目)。
PS版はCERO Cなのですが、お風呂に一緒に入るシーンは茉莉愛の大きなお胸が隠しきれていなかったので、ほんまにCERO Cか?とツッコミながら見入ってました。
CEROといえば、雪子先輩ルートの際に「ログには現れないが音声だけ聞こえるセリフ」があることに気付きました。
コンシューマ移植の都合上載せられないセリフ(=R18に抵触するセリフ)だと理解しているのですが、茉莉愛はそれがどこだったのか発見できませんでした・・・
茉莉愛は出会い方からある意味勢いがあるのですが、「放課後の下校時間」がコンセプトになっている本作品なので、「下校時間中に他校の娘とも出会う可能性がある」という着眼点はリアル感があって面白いなと思いました。
築島 つくし
男の人が苦手という後輩キャラです。
全シナリオを通じて唯一、暗い話や展開がなかったシナリオと言えるのではないでしょうか。
この手のゲームでは道中に鬱展開(暗い展開)→頑張って乗り越えるぞ!というのが王道なのですが、つくしルートは本人の「男の人が苦手」というポイントを克服するために主人公とあれこれすることにフォーカスされており、そういう意味では一番穏やかにプレイできたルートかなと思っています。
「築島つくしは尽くしたい」のキャッチコピーの通り、共通ルート序盤の主人公との出会いのときから好感度が高かったことも上乗せされ、尽くしたがりの後輩キャラの良さが存分に発揮されています。
一方で主人公自身も気遣いができて尽くしたいタイプのようなので、お互いに尽くしまくりのシナリオでしたね。
キャラとしても後輩感の良いところがふんだんに魅せられていて、個人的には「後輩×食いしん坊」の組み合わせは凶悪だなと思いました。そら主人公も尽くしたくなりますよって。
あ、これは独り言なのですが、公式サイトのギャラリーに載っている、「教室と思しき場所で手であれこれしているシーン」が気になりすぎて、やはり原作も買うか一生悩んでいます。
田寄 多乃実
同じタイミングで転校してきたポンコツ(天然?)同級生です。
パッケージヒロイン(そういう言い方があるのかは不明)で、下校時間に色々な場所に行くのが好きだという話から主人公に下校時間の楽しみを見出させる、つまり本作品のコンセプトをシナリオ内で主人公に提供する重要なキャラです。
転校してきて偶然多乃実と出会い、多乃実の考え方に共感できたことで主人公自身の行動も変わったんですよね。
フィクションものでは「知らぬ間にその設定になっている」「設定は設定」ということが往々してありますが、「なぜ下校時間にヒロインと仲を深めるのか」「なぜ色々な場所に行こうと思ったのか」といったコンセプトとなっている動機がストーリー上で綺麗に与えられていて、主人公がそのように動く。とてもロジカルなストーリーだなと感心しました。
そんなわけで、「田寄多乃実は頼りにしたい」がキャッチコピーのヒロインですが、最初は本当に仲が良い同級生という感じです。というか、付き合ってからもそんな感じです。
まさにここがシナリオ内でも悩みポイントとして取り上げられるのですが、こういった付き合い方が実は一番イチャイチャしてるのでは?と思えてきました。
友達であるが彼女、彼女であるが友達といった絶妙な距離感、その”友達”という成分を減らすための距離の詰め方、この辺りがとてもグッときましたね。
だからこそ、イチャイチャという観点では多乃実ルートが一番その成分を摂取できるのではと思っています。
また陽佳ルートで言及があった過去に二人で迷子を助けたことがある話は、多乃実のことであると分かるのですが、本人達は誰かを認識しておらずその種明かしはされないままエンディングを迎えます。
多乃実の行動や考えがその迷子の出来事に多大な影響を受けていることも分かり、かなり重要なエピソードであることは明確で、別ルートで言及があった内容がここにも繋がってくるのかととても感心しました。
ただ、一プレイヤーとしては種明かしの上、主人公、陽佳、多乃実の3人で仲睦まじくしている姿も見たかったなと思わざるを得ませんでした。本当に個人的な願望ですが。
最後に、先ほどコンシューマ移植版の都合で「ログには現れないが音声だけのセリフがある」と言いましたが、多乃実のそれは本当にやばかったです。
R18描写がないままストーリーが進行しますので、おそらく一緒にお風呂に入ってあれこれした後だと思うのですが、「多乃実がそんな・・・そんなことを言うのか?!」とドキッとしましたね。
男なら誰しも言われてみたいセリフランキングの上位に入るのではないでしょうか。
全体を通して
どのヒロインも可愛く、また絵がとても綺麗ということもありめちゃくちゃ良いゲームでした。
また出てくるサブキャラクターもキャラが濃く、ヒロインが絡まない日常シーンでも飽きることなくプレイできました。
あとBGMがとても良いです。突然流れるEDのイントロがやたら耳に残りますし、個人的にはOPのオルゴール版が特に好みでした。
不満は全くないのですが、一部気になった点としては
・告白に至るまでの流れが全ヒロインほぼ同じ
・さっき喋ってたことなのに次のシーンでは初めて喋った風になってることがある
・なぜ雪子先輩だけ結婚エンドじゃないんだ!
くらいです。3つ目は完全に私の趣味嗜好なのですが。
1つ目も2つ目もキャラクターの可愛さを堪能する上では全く問題がないのですが、バリエーションや整合性が気になる方は気になるかもしれません。
総じて、平凡な学園生活を通じた穏やかなシナリオで、ヒロインも可愛く、ギャルゲー(キャラゲー)のエッセンスもよく分かるといった、あまりこのカテゴリーのゲームをしたことがない方であっても十分にその良さ・面白さが分かってもらえる作品だと思いました。
コンシューマ移植版ではちょうど後継作である放課後シンデレラ2が発売されるようなので、購入してやるのは確定ですね。
・・・今度は原作にしようかな。
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