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さらに北海道を旅するータウシュベツ川橋梁ー

2023年
1月末に我慢できなくなってまた北海道にいきました。目的地は十勝の糠平湖であり、凍結しており、その時期だけその橋梁の足元まで歩いていけるという、タウシュベツ川橋梁であります。
せわしなく、羽田空港の近く(大鳥居)に前泊して、土日の一泊二日でいきました。土曜は朝に飛行機でとかち帯広空港ーレンタカーで糠平湖まで行くのは簡単といえば簡単です。しかしもしこれが悪天候で吹雪だったりしたら運転の注意も大きくなり、なんなら事故とかのアクシデントもあるでしょう。本当に天候が安定していてよかった。まあその土日は、山こえて旭川とか石狩地方は猛吹雪だったらしいのですが。とかちは大丈夫でした。

土曜は、足ならしということで「アイスバブルツアー」というのに申し込んでありました。凍結した糠平湖は、氷の下の水の中に植物とか植生があり、そこで発生するメタンガスが、泡となって氷の下に現れるそうです。そしてその泡が凍ってまるく立体に見えて、またその時間差で下からつぎつぎとあらわれるため、シャンデリアみたいに見えるという。

ここで、氷点下エリアでのアクティビティをどのように楽しむか、何がリスク要因か、わかりました。私の場合は、レンタル長靴の中の足がつめたくなってきて、どうにも凍傷リスクが気になって、途中からアイスバブルどころではなくなってきたのです。必死に足踏みする始末です。

それをふまえて、日曜日のタウシュベツツアーでは
1.自前の暖かいワークマンのケベックNEOブーツのままでレンタルのスノーシューを履く
2.スノーシューのストラップを締めすぎない

はたしてそのおかげで、タウシュベツツアーでは快適に過ごせました。もちろん、全身をコテコテの寒冷地仕様にして、寒さ対策はしていったのですが、顔がバラクラバではないので頬は露出しており、さすがに寒かったです。まあフードをできるだけ頬にかかるようにして、なんとかなりました。またそれ以外の場所は、手袋はモンベルで一番あたたかい2層の手袋、その上に防水ミトンオーバーグローブをはめてかなり暖かく、脚もモンベルのジオラインタイツでOKです。モンベル教徒ですね。まあ機能がよければなんでもいいのです。

さあそれではタウシュベツツアーですが、もう確かにいろんな方が楽しんだ様子をネットでレポしていると思うので、ここからは私が実感として最高に楽しいと思ったポイントを書いていきたいと思います。

ラッキーなことに、この日のタウシュベツツアーは参加者が5人でした。最高ですね。あまり多い人数だといろいろつまんないのです。そう思うのは私だけでしょうか。バラバラ感があります。5人なら、それぞれが個別に過ごしていてもそういう集団だと思うことができます。つまり山の小さい小学校の少人数クラスはそれ自体が「そういう集団」として存在するという理屈です。都会の大人数クラスで中身がバラバラだと虚しさが感じられないでしょうか。どうでもいい話です。
さて今さらですがタウシュベツ橋梁とは。基本知識があってもいいと思います。
国鉄は士幌線という路線を維持していまして、それは帯広から十勝三股までを営業していたわけですが、1987に全線廃止されています。私は1970の生まれでして、小学生から時刻表読みふけるタイプの鉄ヲタでしたので、当時の北海道の路線図の入り組んだ網目をよく覚えていますが、どんどんなくなっていくのですねえ。
さてそれとともに、この糠平湖はダムによる人口湖でして、タウシュベツ橋梁があったのは元の士幌線ですが、その後にダムによる路線架け替えがあり、その時点で橋梁は使われなくなります。つまり路線廃止前から既に「鉄道遺産」だったわけです。
もちろんどんどん朽ちていくわけで、あとで写真を載せますが、なかなかの崩壊途中の様子です。しかしあと10年くらいはなんとかもつのではないか・・とも思われます。ガイドさんが10年はもってほしいと言っていました。観光資源としても重要だからです。

橋梁というくらいで、もともと川にかかる橋ですので、足は水の中です。それが冬季は凍結します。だから橋脚のすぐ近くまで歩いていけるわけです。もちろんツアーでなくても、自由に氷の上を歩いて来ていいわけです。しかしはじめていく場所で、なんなら氷の中にあるという「穴」にはまる落ちるリスクもあり、天候急変時のリスクもあり、最初はツアー参加がやはり無難でしょう。

・林間をスノーシューハイキングするのが楽しい
まずツアーは五の沢駐車場というところまでいきます。単に路肩に停めてるだけの場所ですが。ここはもう既にワカサギ釣りの人などで車はたっぷり停まっています。ここからスノーシューをはいて、まずは林間を歩いていきます。雪の上の、小動物や鹿などの足跡、フンなどをみながら、人の歩いたコースをたどっていきます。スノーシューがあるからいいですが、ツボ足だと踏み抜きもありそうで、なかなか大変そうです。松などの針葉樹の部分から、湖面近くでは白樺だけの場所になります。そして、傾斜を下っていって、氷結湖面に降り立ちます。

傾斜の上のほうから、下の湖面(平ら)を見下ろす

平らなのは湖面で、そうではなく傾斜があるのは土のある場所とわかります。昨日も湖面にきたくせに、今日はいっそう高揚しています。この上から見下ろす感じが大好きだからです。睥睨、というか、パノラマ感、さえぎるもののない景色、こういうものが大好きです。

遠くに見えるのが橋梁ですがなかなか歩いていても近くなってこない

さて湖面を歩きます。風を遮るものがないのでびゅーびゅーです。しかし当日はまだいいほうの日だったそうで。5人+ガイドさんで歩きます。平らで遠くを見ているので遠近感がおかしいです。歩いても近くなってきている実感がまるでありません。

まあまあ見えてきました

まだ人間の姿があんなに小さいので、遠いなあと思いますが、そのあとなんとか橋までたどり着きました。ここで約30~40分のフリータイムがあり、さんざん橋の周囲を歩きまわり写真をとりまくります。

壊れてるところには雪が積もる
バックの山がとがっていてかっこいい


ちょう晴れてていい感じの抜けた空


だいぶぼろぼろになってきている表面


やや離れてみていてもかっこいいとしかいえない

・雪と氷だけの世界にある遺跡をみている異世界感
ここは人が「暮らす」ことのできない場所で、しかも季節も限定です。白い氷の上に雪がつもり、しかもかなり軽い雪なので、風にふかれて風紋(砂紋のようなもの)をつくっていきます、そしてそのまま表面だけかるいパリパリした氷になります。そこは、歩いて踏むとパリパリいって割れる部分です。下の水面が凍った部分は固く、人間ごときで割れるようなものではありません。たぶん。
そして風にふかれて、人間のあるいた部分などはすぐにもとどおりの平らな白い場所にかえっていきます。

冬のほうが北海道は電力消費が大きいために、水力発電需要があるためダムは放水しています。そのたびに少しずつ氷の面は下がっていきます。だから橋梁の足もすこしずつ出てくる、長くみえるようになるそうです。1月末だからまだこのくらい、ということです。
実際、2月は本格シーズンのため土日は軒並み予約満員で、かろうじて1月末なら滑り込みできる、と慌ててつくった日程でした。しかし最高のタイミングともいえます(5人だけだったから)。

いずれなくなってしまうことが価値というわけではなく、その場所にこういうものがある、ことそれ自体が価値で、強く行きたいと願った場所で過ごす時間は最高でした。こういう体験をまだまだたくさんしたい。という欲が盛り上がりました。

あとついでではないですが、糠平湖よりさらに奥に、かつての士幌線の終着である十勝三股があり、いまは2軒しか住人がいないですが、ここで「三股山荘」というカフェが営業しています。三国峠をこえてくるライダーなどには有名な場所だそうです。暖炉にあたりながらランチをいただきました。たいへんおいしゅうございました。いや、本当においしかったのです。ハムソーセージじゃがいも、野菜、すべてなんというか大地の恵み、こんなにおいしいものかと思いました。
スノーシューハイキングで空腹だったのも最高のタイミングですね。

「畑のランチ」


立派な美しい建築です

そしてレンタカーを返して、日曜の夜に羽田までかえってきて新幹線で帰宅です。北海道らしさを最高に味わった直後にもう自宅にいると大変奇妙な感覚です。飛行機の安定運行に感謝いたします。

最後になりましたがぬかびら温泉の湯も最高に熱くからだにしみこみましたね。誰もいない大浴場最高です。そしてテレビをみながらカフェオレをのみまくる土曜の夜。糠平温泉ホテルさんありがとうございました。食堂ナウシカも広くてよかったです。

またすぐ行きたい欲がたかまっていますが、たぶんまた来年・・・いけたら・・・2日あればいけるはず・・・です。

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