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おすすめの短歌入門書 『NHK短歌 シン・短歌入門』 笹公人著(NHK出版)

この本はこれから短歌を始めようとする人や、短歌を始めてまもない初心者の人、さらには短歌を作り始めて2、3年たつような人にもおすすめしたい短歌入門書である。

本書はQ&A方式となっていて短歌に関する52の質問に対して歌人の笹公人が分かりやすく答えている。質問は、初級編、中級編、上級編に分かれているので自分が気になる質問から気楽に読んでいけばいいと思う。

著者は、「はじめに」でこう述べている。

三十一年の短歌歴で、これだけは伝えておきたいという大事なことは、ほとんど詰め込むことができたと思っています。

『NHK短歌 シン・短歌入門』笹公人著(NHK出版)

読んでみると、この言葉の通りで短歌を作る人が一度は悩んだり、疑問に思うような質問に丁寧に答えていてとてもためになる。

まず、最初に笹公人の自選四十首が入っているのも笹公人の短歌が好きな俺としては嬉しかった。

初級編の、一番最初の質問は

歌を作るには何から始めたらいいですか?

『NHK短歌 シン・短歌入門』笹公人著(NHK出版)

という質問である。これに対する答えを一部抜粋して紹介したい。

まずは、現代の歌人たちの作品を集めた「アンソロジー」を読んで、現代短歌の世界を知るとともに、定型のリズムに慣れることから始めましょう。アンソロジー(複数の作者による作品を集めた本)には、たくさんの歌人の秀歌が載っています。読み込むうちに、それぞれの歌人の感覚や作風、追及しているテーマが見えてくると思います。その中から、自分と相性が良いと思う歌人を見つけてください。次にその歌人の単独の歌集を手に入れてください。さらには、その作者になりきって作歌をすることをお勧めします。巧い下手にはこだわらず、最初の二、三年は、モノマネでいいので、どんどん歌を詠んでみてください。

『NHK短歌 シン・短歌入門』笹公人著(NHK出版)

俺は、短歌を始めてちょうど二年くらいだ。著者のアドバイス通り、好きな歌人の歌集を読みながらどんどん歌を詠んでいきたいと思う。

質問は、他にも「初心者が覚えるべき型のようなものはありますか?」、「短歌大会の題で悩んでいます。題詠のコツはありますか?」、「動詞の数は少なくといわれました。なぜですか?」、「カルチャー教室で「歌にオチをつけるな」と注意されました。具体的な参考例がありましたら教えてください。」など役にたちそうな質問ばかりである。

また、この本には著者のエッセイを集めた「シン・歌論集」というコーナーもある。著者自身が企画したというアイドル歌会の事や、高校生たちが短歌で競う「牧水・短歌甲子園」のこと、著者が好きなオカルト短歌のことなど、どれも面白いエッセイであっという間に読んだ。

そして、「シン・短歌ドリル」というこの本で読んだ学びの成果を試す短歌ドリルもある。短歌の一部が空欄になっていてそこに4つの選択肢から1つを選んで入れるというもので、俺は20問中9問正解だった。ただ、4つは知ってる短歌だったからそれがなければもっと正解数は少なかったかもしれねえ。

本書の最後のページには、「推敲10のチェックポイント」というのがある。俺は最近、短歌を推敲する時はなるべくこのチェックポイントを読みながら推敲している。

本書は、一度は手に取って読んでみてほしいおすすめの短歌入門書だ。

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