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濃茶と薄茶

茶席で出されるお茶は濃茶と薄茶の2種類。
これは茶葉の種類ではなく、お茶の点て方の違いです。

濃茶は茶席のメイン。
茶事で言えば懐石料理やお酒にもまさるご馳走です。
多量の抹茶を少量の湯で練り上げ、濃いペースト状に仕上げます。
濃茶の場合、茶を「点てる」と言うより「練る」という表現を使うのが一般的。
とても厳格な席で、静寂の中、亭主の点てる一椀に場が集中し、その一椀を客が皆で回し飲みます。
まさに一座建立。
全てが一つになる空間です。

薄茶は一般的なイメージの抹茶。
甘味処や喫茶店で提供される抹茶はほぼ薄茶です。
薄茶はとてもカジュアルな位置づけで、茶事席ではおかわりが許されていますし、主客の間の会話も積極的に交わされます。
茶事の最後に場が和み、亭主の招きに感謝したり、またその労をねぎらって再会を約束する。
そんな和気藹々とした雰囲気が薄茶席にはあります。

茶道のお茶は「薄茶」ばかりをイメージしがちですが、メインディッシュとも言うべき「濃茶」を知ると、茶道への興味もまた一つ深さを増したような気がしませんか?

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