ロースクールの成績は頼りならない
ロースクールの成績は司法試験の合否に直接の関係がないと言えます。
ロースクールでは研究科長や学生担当の教授が、ロースクールの成績は司法試験の合否と関係があります!などと"教育"の努力を惜しみませんが、大人が都合のいいアナウンスで"教育"するのは世の常です。
🔹司法試験とLSの成績は別ゲーム
司法試験とLSの試験は全く別のゲームです。
範囲も採点者も全く異なります。
出題方式も異なります。選抜の目的も異なります。
ロースクールの勉強は過去問や過去の優秀答案を獲得する能力だったり、先生の喜びそうな記述を書く能力だったり司法試験とは別の要素が介在します。
しかも、一部のLSの教授は平然と日頃の学生に対する印象を採点に反映させることも疑われます(これは本人たちは無意識かもしれませんが意外と起こり得ます)。
ロースクールの勉強を一生懸命していても司法試験の勉強ができるとは全く限りません。むしろロースクールの勉強を一生懸命やるほど司法試験に照準を合わせた勉強をやる時間が圧迫されていきます。
私の経験上、ソクラテスメソッドのために完璧な準備をしていた学生は司法試験に落ちます。準備はほどほどor全くせずにその場で考えて発言する学生はほぼ受かります。
たしかに、ロースクールの成績と司法試験の合格率には相関関係はありますし、ロースクールの勉強は司法試験に相当程度役に立ちます(のでLSの勉強を頑張らなくていいわけではありません)が、あくまで相関関係です。
成績はその人の元の才能や学力が相関しており、その元の才能や学力は合格率と因果関係に近いものがありますが、成績自体は直接的な相関関係があるわけではありません。
つまり、LSの成績と合否は元々の能力を介した間接的な相関関係があるに過ぎないのです。
🔹TKC模試や答練の結果は参考にならない
TKC模試は、予備校が作っているので予備校クオリティです。
採点者は実力も学識も担保されていないバイトが大量の答案を処理するためにスピーディに行うので、採点の質は全く担保されていません。ばらつきもあります。
しかも、そのような採点者に採点させるために、論点抽出である程度差がつくように、論点主義の問題を出します。
司法試験は抽出した論点自体でそこまで差がつかないので、試験の質や方向性がかなり違います。
同じ理由で答練の結果は参考になりません。
🔹では何を参考にすればいいか
では何を参考にして自分の現在地を確認すればいいのでしょうか。
それは過去問につきます。
まず、司法試験の出題傾向は急には大幅に変わりません。国家試験である以上、選抜目的は毎年同じだからです。
(1年1年ごとに気づかない程度に徐々に少しずつ変わっていきます。)
つまり、前回の司法試験の問題が1番自分が受ける問題に近いのです。これがある程度解ければ今年もおそらく合格すると言ってもいいでしょう。
ただし、1年だけだとたまたまそこの出題範囲をよく知っていただけ、たまたま書けただけの可能性もあるでしょう。
なので、さらに2年前の過去問を解ければさらに合格推定が働きます。
3回目ならもっとです。
というように、過去問を解けるということが自分の合否を予想するための1番の参考になります。
逆に、過去問が全然全く解けないなら、司法試験を受けても賭けになってしまいます。
🔹最後に、過去問の効用
本番では、過去問と似たような難易度の問題が出ます。
つまり、過去問を解けば、どの程度典型的な論点が出て、どの程度マイナーな現場思考的な問題が出るかを体感で習得できます。
これによって、自分がどれくらい過去問で出そうな問題を習得しているか、現場思考に必要なだけの知識が定着しているか、という類推を働かせることができます。
これも過去問のかなり強い効用だと言えます。
過去問検討頑張ってください。いきなり解くのはしんどい人は、まずは読むところから始めましょう。
過去問は解き物である前に読み物や
— ○ナヲ (@nt_hn7) November 8, 2023
読むだけでその効用の7割は得られる。
ちなみにフル起案全年度1周と全年度1回流し読みは3ヶ月後の効用がほぼ同じである。
過去問を「読む」ところから始めるというのは科学的な根拠がありますが、それについてはいずれ話したいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?