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その時、植物画に魅せられたのであった

 今でこそボタニカルという言葉は巷にあふれていますが、20年前の当時は、何それボッタ何とかなどと言われていた時代でした。博物画の分類である植物画は以前から知っていて、この道に入ろうと模索していた時経験したのが、1998年に西新宿にあるSONPO美術館で開催されていた英国シャーリー・シャーウッド・コレクションでした。初めて世界のトップに触れて、こういうものが描きたいという思いがふつふつとたぎってきたのでした。

 今ではボタニカルアート、ボタニカルイラストレーションという呼び名で呼ばれていますが、近代植物画の復興に寄与した英国のシャーリー・シャーウッド女史は、彼女の著書で述べています。ボタニカルアートは、それまで言われていた単なる女性の手慰みという社会的な地位を超えて、芸術としての地盤を確立しなければならないと。

 日本においては、シーボルトのおかかえ絵師、長崎の川原慶賀(かわはらけいが)を端緒として牧野富太郎博士など多くの植物画の先達が輩出されてきました。私もこのような先達や外国の絵師たちから多くを学び、また今では同好の腕達者の画家たちが集まるグループで研鑽を重ねています。

 学術的な図譜を基礎として描いていくのが、植物画を描く人にとっては誇りであり、楽しみなのです。のっけから真面目な話になりましたが、回を追うごとにカジュアルにしていきたいと思いますので、どうかお付き合いください。

Photo : Les Roses バラ図譜, ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ、 青幻舎 (2019/12/5)

Photo : Contemporary Botanical Artists: The Shirley Sherwood Collection, Cross River Pr (1996/8/1) 

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