2023年 東大寺学園中 算数分析
設問分析
2023年の入試分析です。まずは、東大寺学園中は3科目受験と4科目受験で平均点が異なります。4科目受験をすることで損はないのですが、例年3科目の受験者が多いのもこのランクの学校では珍しいことです。本記事ではそこには触れることなく、算数の入試分析をしていきたいと思います。
受験者平均点は49.4点、合格者平均点は64.1点と昨年度よりもややアップしました。問題の難易度自体はそこまで変わっていないのですが、取り組みやすい問題が少し増えた印象があります。
大問1 小問集合
(1)売買損益の問題。丁寧に処理して確実に正解しましょう。
(2)10個の一の位が7の整数を3の倍数、9の倍数、それ以外に分類します。あとはいい感じに組み合わせておしまいです。東大寺受験生にとっては基本的な問題です。
(3)道順を利用した場合の数です。そもそもが20通りしかないので全部調べてもよいのですが、右左折の回数が同じパターンを見つけて直接調べることもできます。
3問中2問は仕留めましょう。
大問2 食塩水
個人的には、ここで合否が決まると思っています。(2)まで短時間で求め、(3)で少し頭を使うところ。ただ、面積図でさっと処理できてしまうため、粘りたい問題です。
大問3 図形問題
(1)作図自体はシンプルですが、頂点Pが1回だけ通った長さを求めるのは作業の質の高さが求められます。時間を多少かけてでもここで正解しておきたい問題です。
(2)立体切断のような、共通部分を求める問題です。意外とテキストでは立体同士の共通部分も求める練習が手薄になります。本問も来年以降の受験生にはぜひ経験しておいてもらいたい一問ですね。
大問4 数の性質
倍数と約数を上手く使って求めていく整数問題。レベルは高いですが、本年はここでどこまで粘れるかで得点をどこまで伸ばせるかが決まります。ひっかけ要素は多くありませんので、最後まで到達した受験生も少なくないのではないでしょうか。半分は得点できるようにしたい大問です。
東大寺学園中合格に向けて
灘、東大寺、西大和といった関西の名門校は、模試の偏差値通りにはいきません。入試問題が模試よりも一回り二回りレベルが高く、易しい問題から順番に構成されていないからです。
もちろん、ある程度の模試でのスコアは必要です。ただし、それはあくまでもテキストの練習の成果を見るもので、算数の分野の本質をゼロの状態から問われたときにどこまで対応できるかとは別問題なのです。
したがって、こういった難関校に合格するには、「模試のための勉強」ではなく、それぞれの分野の本質理解とそこからどこまで自分で作業できるかの思考力が問われています。
幸い、今の時代は多くの塾や市販のテキストでこういった思考力系の問題を鍛えることが出来ます(塾の講座テキストはやや難しすぎる傾向にありますが、難しい問題でのトレーニングも確かに必要です)。
それに加えて、実際の過去問を用いて実践的なトレーニングを積みましょう。その際に、どこまで深堀出来たか、どのような作業をしていたかは細かく指導を受けると効果的です。
集団塾の担当の先生、個別の先生どちらでも構いませんから、しっかり添削してもらってください。
(算数Herosでは、全学校でこういった指導をしています。)
また、他科目で苦手を作らないことも重要です。算数は確かに得点差がつきやすいのですが、全員が全員常に合格点+20点取れるわけではありません。
夏休みが終わるまでには、4科目(3科目)のバランスが高い水準で整った状態にできるようにしましょう。