2023年 市川中 算数分析
設問分析
2023年の市川中の入試を振り返ります。今年の平均点は49.8点でした。市川中は平均点が2021年に約30点というかなりヘビーな試験となりましたが、その後2年間は標準的な難易度であったことになります。今年の入試の特色は少し問題に深入りしないとならない問題がいくつか見受けられましたが、全体的には取り組みやすいセットでした。
大問1 小問集合
例年通り解きやすい問題でしたが、(4)だけ詰まりそうな問題です。ここはやりとりの鉄則である和が変わらないことで式を立てて逆比として処理するとスムーズです。
大問2 流水算
流水算の鉄則、速さを整理。これだけで(3)まで解けます。なお、(3)は流速を求めなくても求められます。半分知識のような問題。
大問3 図形上の点の移動
今回のセットで一番丁寧に解きたい問題です。周期を利用して表やグラフにまとめて解きましょう。この手の問題は点の動き方にも要注意。時間をかけた分しっかり得点したい大問です。
大問4 立体図形
円すいの展開図に関する問題。作図は難しかったです。(2)は作図が出来なくても解けるので、こちらは何とか正解したいところ。
大問5 規則性
2021年の灘中2日目の大問2とほぼ同じ問題ですね。既視感のあった先生が多かったのではないでしょうか。(2)までは規則に気づいてさっくり解けます。正方形のグループのを4分割した右下のエリアはすべて×になることに注意。(3)は少しだけ計算を取り入れながら個数を調べていきます。そこまで難しくはありませんが、無理に解く必要もないでしょう。
市川中に合格するために
市川中の算数はよく練られたテーマで凝った問題が多いです。標準的な難易度の年度であれば、そういった大問は1つか2つなのですが、平均点の大きく下がった2021年はほとんどがそういう大問でした。市川中の算数を攻略する上では、個人的には過去問は多めに解いた方がよいと考えています(ここは先生によって少し意見が分かれそうです)。
その理由は難しく見える大問の中にも、本当に難しい問題である場合と、実は難しそうに見えるけど取り組んだら簡単であった場合があるからです。前者の場合は出来なくてもかまわないのですが、後者であった場合に合格点に乗せるためにはある程度解く必要があるからです。その違いを見極める目と感覚を養うために過去問に多めに取り組む必要はあるでしょう。
過去の受験生を見ても、市川中の入試で失敗した受験生は、偏差値は高いけれど対策が不十分であった先輩が多かったように思います。受験生が多いにもかかわらず平均点がブレやすい学校ですから、問題の難易度に振り回されない準備は必要でしょう。
市川中の算数の平均点が上下しやすいもう一つの理由として、解法が定まった問題が多い回と思考力問題が多い回があることが挙げられます。解法が定まった問題が多い回は平均点が安定して6割近くになりますが、思考力問題が多い回はどうしても平均点がブレます。市川中の大問は1~2つ分はその場で考えるタイプの思考力問題が出題されますから、ここをどう乗り越えるかで合計点にも影響が出てきます。
市川中の思考力問題は基本的にその場で書き出していく問題が多いです。その中で周期にまとめたり、規則に気づいたりして(2)以降を処理するパターンがほとんどですから、やはり過去問での練習が有効といえるでしょう。
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