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2023年 開成中 算数分析

御三家中の最難関、開成中の入試分析です。

2023年 開成中 算数

 すでに学校側より入試データの発表があり、合格者平均が76.4点、受験者平均が61.7点と、予想よりも遥かに大きな差が出ています。(算数の配点は85点)

 開成中の合格者は400名強でますから、この中でも差が開いているのだろうと予想されます。さすがですね・・・。

 さて、入試で合格点をとるためには、すべての大問をバランスよく仕上げられないといけません。今回の入試に限っていえば60分は短いです。試験会場で大問1の速さと2の正六角形の問題の時間配分で失敗してしまった受験生も少なくないと予想されます。時間無制限なら多くの受験生が80点近くとれたことでしょう。試験当日の取り組みとして、大問5まで多少のつまずきがあっても、時間を残して最後まで一旦解ききれるだけの学力が必要です。特に大問1~3まではノーミスでなければなりません。また、大問4は開成志望者ならば周期や向きまで正確に把握できなければなりません。さらに、大問5もきちんと文章を読めば(2)までは楽勝です。(3)と(4)も多少の調べは必要なものの、全問までの流れを律儀に踏襲し、流れに乗って解答することが出来れば正答までたどりつけます。本当に85点満点の受験生も多数いたことでしょう。

開成中合格のために

 幸いなことに、筆者の指導した受験生も開成中を1人受験し、見事合格することができました(その受験生は算数は1問ミスだったそう)。

 その受験生に対し、ずっと意識して指導してきたことがあります。その受験生は算数がそこそこ出来ていたので、とにかく4科目のバランスが心配でした。

  • 理科・社会で負けない。

  • 国語で負けない。

  • 過去問を夏から扱い、超難問と言われる問題のレベル感に慣れさせる。

 開成中は1科目出来るだけでは絶対に勝てません(算数が常に平均点+30点以上取れるなら勝てるのでしょうが)。模試でも常に算数以外の科目が平均点以下でした。そこから必死に努力してよく本番に間に合わせてくれたなと感心しています。

 また、3点目ですが、これは算数が苦手な子にも是非取り組んでほしい事項です。開成中の算数は平均してみれば、ここ10年で難易度が上がっています。それらに対応するために、私の授業では2020年の立体図形(影の問題)や2016年の速さの問題を早いうちから取り組ませ、受験生に衝撃を与え続けてきました。また、洛南中や東大寺学園中、西大和中の図形の問題にも取り組ませ、とにかく難しい問題への耐性を植え付けてきました。その受験生もはじめは問題を見て戦意喪失していました。一緒に解説・作業し、復習指示を出し、チェックし、最終的には何とかものにできるようになりました。

 これには2つ意図があり、1つは算数の力を入試のレベルまで引き上げること。もう1つは、その子の算数で勝つという意識を崩すことです。

 その子はSAPIXのテストでも5年生の時は120点/150点程度、指導を始めてからは130~150点も取れるようになり、志望校判定系の模試でも常に80%の判定を得ていました。
 私の経験上、そういう子は本番の入試でやられます。塾のテストはしょせん復習・既習の範囲でしかないからです。2016年や2020年の大問は本番の受験生もほとんど正解していなかったのでしょうが、それらを体験させることにより、4科目しっかり学習してくれるようになりました。

 ・・・半ば合格体験記のようになってしまいましたが、開成中の入試対策に話を戻します。

 開成中の入試傾向は読めません。塾講師としての感覚から「今年は〇〇が出そうだな」とか「大雑把に易しくなりそうだな」というのはあります(割と当たります)。

 どのような分野がきても自分のできるベストを発揮すること、そしてそれが出来れば合格できる4科目の学力を身につけておくこと。これが合格に一番近いことだと思います。

 対策も当然、お子様によってすべきことが異なります。担当の先生としっかり打ち合わせをして進めていくことがよいでしょう。集団塾だけで頑張る受験生も必ず担当の先生に相談してみてくださいね。開成中はある意味、戦略次第で合格・不合格のラインを分ける学校といえるでしょう。

 強いて頻出単元をあげるとすれば、「数の性質」「速さ」「平面図形」「立体図形」です。近年は「場合の数」の大問も増えています。2023年の入試は塾内模試で強い子に有利に働く年でした。まずは、これらの単元で苦手があるようでは門前払いですから、確実に習得したうえで、早いうちから、”開成中対策”をしていきましょう。


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