2023年 東洋英和女学院中 算数分析
設問分析
2023年の東洋英和女学院中の入試を振り返ります。東洋英和女学院中の入試は2/1と2/3の2回行われ、2/1の倍率が2~2.3倍、2/3の倍率が3.5~4.6倍となっています。特に2/1の倍率は難関校の中では落ち着いています。
出題傾向に少し特徴があり、1枚目の左側は超基礎問題、そこから2枚目の左側までが基本的な問題、そこから突然難易度が上がります。とはいえ、解ける問題をしっかり得点することで80点以上を見込める内容となっています。
本年の第1回入試を振り返りますが、合格者の平均点は69.0点でした。合格を狙うためには、45分間の制限時間で70~75点を確保したい内容であり、時間的にそこまで余裕のない高得点勝負の試験といえます。
大問1 計算問題
例年、受験者のレベルと比べると易しめの計算問題です。時間がかからない分、確実に正解しないといけません。
大問2 小問集合
毎年、全問正解したいラインナップです。過去問を数回解けば形式にも慣れるでしょう。
大問3 平面図形
解き方の方針は比較的立てやすい問題ですが、正確に当てきるとなると緊張感のある一問です。少しブレーキを踏んで確実に得点しましょう。
大問4 速さ
基本的な時間一定の問題です。図を書くにしてもさっと済ませましょう。
大問5 条件整理
うそつき問題です。4人のうち誰がうそをついているか仮定して矛盾を発見しながら検証するのがセオリーです。文章は短めですから、てきぱき処理しましょう。
大問6 平面図形
円周に関する説明問題。理由は頭の中ではわかっているはずなので、表現力が重要です。式を中心に展開するとよいでしょう。
大問7 数の性質
ぱっと読んだだけでは意味が取りづらい問題です。少し問題が不親切ですが、公倍数に持ち込んで解く問題でした。手が止まってしまったらここは飛ばしてもよいでしょう。
大問8 立体図形
回転体の体積です。全体からいらない部分を引くというシンプルなやり方でOKです。回転体の問題はもとの図形の上下の移動はOKということを頭にいれておくと見た目に惑わされないで解くことができます。
大問9 二者間距離のグラフ
グラフ問題は東洋英和では必須です。その中でも二者間距離グラフは定番といえるでしょう。難易度も控えめで、十分に準備してきた受験生は報われたのではないでしょうか。
大問10 約数の利用
約数の個数に関する有名な問題です。(3)で説明力が問われていますが、自分なりに必要な用語を考えながら記述するとよいでしょう。
東洋英和に合格するために
差がつくと感じるのは3の平面図形、8の立体図形、9の速さ(グラフ)、10の数の性質の問題でした。これらは毎年頻出のテーマであることと、解きなれている受験生(=もともと偏差値がある程度高い受験生)にとっては得点しやすい問題だからです。それ以外の問題は正答率が圧倒的に高いか、低いかの問題に分類できそうです。
したがって、来年以降も基礎力を磨くと同時に、先述した4分野を重点的に学習しましょう。特に、平面図形(面積を求める問題)、速さ(グラフの問題)は本当に毎年出題され、出来の別れる問題です。小6の9月以降はいち早く得意分野にしておきたいところです。
また、45分間の試験というのも分量から考えると上手に付き合わなければなりません。筆者の指導する生徒には「時間配分大丈夫だった?」と声掛けしたり、実際に解いている様子をチェックしたりしています。分からない問題を後回しにし、いったん最後まで解ききるという姿勢は大事です。特に、東洋英和は合格点の高い学校であり、しかも最後の問題だけ難しいということがあまりありません。あくまで、全体を解いたうえで自分が解ける問題にフォーカスし、得点が少しでも上がるように残りの時間を費やす、という戦略が有効です。
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