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2023年 筑波大学附属中 算数分析

設問分析

2023 筑附 算数

 2023年、筑波大学附属中の算数を振り返ります。筑波大学附属中の算数は比較的易しめで高得点勝負、というのが通例でしたが、ここ数年は現場での思考力重視の問題が増えたり、やや難しいテーマの小問が紛れ込んできたりと、難化しています。合格者数も少なく倍率は高いのですが、さすがに本年は合格点も5%以上低下しています。40分の試験時間もかなり苦しいのですが、なんとか70%以上の得点を目指したいところです。

大問1 小問集合
(1)(4)(5)はよくみかけるタイプで問題ないでしょう。(2)の約数の逆数の総和が出てきています。中学受験ではあまり見かけないマイナー論点ですが、「約数の和が252」から強引に導き出した受験生もいたことでしょう。求められなければ早々に飛ばす必要がありました。(3)の桁ばらしは基本的な作業で済みますが、桁ばらしについて取り組んだことがあったかどうかで差がつきそうな問題です。

大問2 魔方陣
積の魔方陣であり、ある程度当てはめで答えられます。5の倍数、3の倍数などを上手に振り分けているうちに終わるでしょう。

大問3 場合の数
テキストでもよく見かける点を結んで正方形を作る問題です。筑附受験生はここで落としてはいけません。

大問4 図形小問集合
(1)は折り返し図形。線対称を意識して丁寧に図を書いていく必要があります。(2)は投影図の問題ですが、この問題は真上から見た図を3層に分けて、積み木のない場所に×印をつけていく、という有名な解法で解きます。パッと見た感じ気づかない受験生もいそうですが、ほかの問題の難易度を考えると何とか正解したい。

大問5 水の移動
立体図形のような、割合のような問題です。処理の仕方がかなり難しく感じる問題です。どちらかというと思考力要素が強い問題です。

大問6 速さ
ダイヤグラムが与えられて、そこから速さや時間、距離を求めていきます。短時間で2問とも正解したいです。

大問7 資料の読み取り
場合の数、比例の理解、ヒストグラムの読み取りと、幅広い知識や経験を求められています。うち説明問題が2つと、表現力も求められていますが一問一問はそこまで難しくありません。

大問8 条件整理
ロボットの動きを追いかける問題です。小問が3つありますから、時間の許す限り攻めて解いていった受験生が得点を伸ばせたのだろうと思います。突破口は明確であるため、時間さえあれば解けるという問題です。残り時間と相談して効率的に得点すべき大問でした。

 大問2が穴埋めと説明問題の2つ解答するとした場合に、20問あります。配点は50点で詳細は不明ですが、30~35点には収めたい(本年に関しては20点台でも合格者はいたと思われます)。40分の試験時間でいかに問題を見極め拾っていくかが求められた試験でした。

筑附に合格するために

 今年の受験も、試験が終わって手ごたえがあった受験生は多くはなかったでしょう。勝負を分けたのは「自分が解けそうな問題を確実に解いたか」です。★1問題をすべて解いても60%には足りません。大問8を含めて40分の時間配分を効果的に行うことと、手を付けた問題を確実に正解することの2点が重要です。

 これを普段の学習に戻したときに意識すべき点は2つです。

  • 基本的な問題、有名な問題を穴なく正解すること

  • 効果的・効率的な解法を身につけること

 1点目はいうまでもないのですが、2点目まで意識できると差をつけられるでしょう。無駄な式や考え方を省いて処理できるようにならなければ、40分の試験時間はあっという間に過ぎてしまいます。反復練習をすることで時間を短縮することも必要ですが、解法選択の判断力を上げるためにも効果的な解法を身につけることも本番での高得点につながります。難しいとはいえ、7割近くの問題はどこかで見たことのある問題です。

 分野についてもかなり幅広くおさえておきましょう。「筑附は基本問題で解ける、」が基本路線でしたが、やや発展的な知識やマイナー解法にも触れておくほど出題されたときに有利です。今までの対策を軸にしつつも今後は様々な問題に触れていく必要もありそうです。また、本年は記述式問題が3問出題されました。いずれも短時間で答えやすい問題でしたが、表現力を含めて練習しておく必要がありますし、日頃から理由を考えながら学習しようとしているか、姿勢が問われている問題といえます。

 合格に向けては戦略も必要です。筑附に関しては学校の成績はほぼ満点、という受験生も多いでしょう。算数に自信がない場合は、50%強(本年くらいの難易度であれば)を確保して他科目で挽回することも可能です。いずれにしても1点勝負のギリギリの戦いです。準備を早く、入念に行うとその分合格の可能性が上がる学校だと思います。

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