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2023年 頌栄女子学院① 算数分析

設問分析

2023 頌栄 算数

 2023年の頌栄、第1回入試を振り返ります。学校側より公表された各科目の合格者平均点は、
    算数 66.6点 国語 55.9点 理科 67.8点 社会 68.3点
でした。
 倍率が2.1倍だったことを考えれば、算数の合格ラインはまずは6割といえるでしょう。頌栄女子学院中の入試の特徴として、

  • 各科目、配点が100点

  • 制限時間が40分

  • 算数の入試問題が比較的難しい

ことが挙げられます。明らかに、算数だけで合否が決まらない入試です。とはいえ、算数も50点~70点に収める準備はしておかなければなりません。その視点で解説していきましょう。

大問1 小問集合
ちょこちょことクセのある問題があります。9問中7問は正解したいところ。
(1) 分配法則を使う問題に見えますが、分配法則を使わずとも計算可。答えは2023になるので安心して進められるでしょう。
(2) 歯車を利用した比の感覚を問われる問題。ややこしいですが、常識的な感覚も大切です。
(3) 比の値を交えた問題。難しくありません。
(4) 折り返し図形に関する問題です。難しくないのですが、手が止まりがちな問題。
(5) 中央値の意味から推理する問題。理解だけでなく運用力を問われています。
(6) 条件整理です。Bの位置が結局1通りに決まるので、すぐに求まる問題。
(7) 立体図形と投影図の問題。分析力と作図力が問われ、苦戦した受験生も多いのでは。
(8) 頌栄では食塩水は頻出です。今回はかなり易しい問題でした。
(9) 利益のつるかめ。こちらも定番ですね。

大問2 説明問題
三平方の定理の証明が題材ですが、式が書いてあるため、分析力と思考力にあたる問題です。

大問3 サイコロの転がり
今年は女子学院中・栄光学園中などの最難関校でも出題されましたね。頌栄では横の転がりだけはなく、縦の転がりも入れてきました。面白い問題です。そこまで難しくないのもGOOD。

大問4 速さ
山道はほぼ関係ありません。速さと比の5年生レベルの基本的な問題です。
今年の入試の中では確実に正解したい。

大問5 規則性
平方数の数表です。「右から」という言葉を間違えないように。これもテキストや模試で定番の問題です。

頌栄に合格するために

 まずは、算数のお話から。
 頌栄では、5年生のテキストレベルを確実に正解できる力があれば合格できます(2/1でも2/5でも出題される問題のレベルは同じ)。中には、テキストの問題そのままじゃん!っていう問題も例年いくつか見られますから、テキストの習熟度を上げることがそのまま合格に近づきます。
 頻出分野は、食塩水・条件整理・速さ・規則性など。注意したいのが、大問2や3に出題される問題が、めちゃくちゃ難しい年度のときがあります
その際に時間をかけず先に進み、前の確認をする切り替えをすることが大事です。頌栄は食塩水や条件整理がよく出るから対策を万全に・・・ではいけません。解けない時はあっさりあきらめて他の問題を得点する要領の良さが必要です。「60点で合格できる」「60点を切らないようにする」これが大切です。

 最初に申した通り、頌栄は算数の比率が全体の25%しかありません。ここからも算数の+10点よりも苦手科目の+20点を目指すべきということがいえます。(実際には全科目60点ではなく、得意科目で引っ張り苦手科目で粘る、ということは往々にして起こりますが、算数で80点以上はかなり厳しいと思いましょう)
 
 小5レベルの問題を確実に正解出来れば合格点に届くのは事実ですが、小6になって習うべき応用的な問題(山道問題や角速度など)も出題れるのも事実です。早いうちから受験が決まっている場合は、少し手を伸ばしてそういった応用的な問題にも取り組むとさらに余裕が出てきます。この場合は、典型題をそのまま出題されたときに対応できるようにしておけば十分です。

 さて、全体的な話に移ります。他科目の知識・40分での形式慣れも万全にしましょう。頌栄では国語の記述問題があります。しっかり時間内に埋めるマネジメントは出来ていますか?理科・社会で知識に穴がなく、常に合格者平均点前後の得点が取れていますか?算数においては、小5レベルの定番問題を正解し、60点に乗せられていますか?これらを確認しながら対策を進めましょう。頌栄は各塾の偏差値表を見ても難関校といえます。しかし、偏差値を上げることに気をとられすぎず、基礎的なトレーニングを積むことが、かえって合格に近づくといえます。


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