サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第1031号『ゲーランダ・サンヒター3:12』

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.04.21.◆第1031号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 3:12
◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 3:12================

◆ 本文(原文)

画像1

atha jālandharabandhakathanam
kaṇṭhasaṃkocanaṃ kṛtvā cibukaṃ hṛdaye nyaset
jālandhare kṛte bandhe ṣoḍaśādhārabandhanam
jālandharamahāmudrā mṛtyośca kṣayakāriṇī (12)

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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

atha さて、それでは
jālandharabandha ジャーランダラ・バンダ
kathanam 物語、記述、報告
kaṇṭha 喉
saṃkocanam 収縮
kṛtvā なす、する
cibukam 顎
hṛdaye 心臓、胸
nyaset 導く、運ぶ、置く

jālandhare ジャーランダラ
kṛte なす、する
bandhe バンダ
ṣoḍaśa 16
ādhāra 基礎、支柱
bandhanam バンダ、縛ること、結ぶこと

jālandhara ジャーランダラ
mahāmudrā マハームドラー
mṛtyoḥ 死
ca また
kṣaya 減少、衰微、喪失、破壊、終末、肺病
kāriṇī 作る、なす、生じる

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
  
  さて、ジャーランダラ・バンダ、話である。
  喉・収縮を、なして、顎を、心臓部に、置くべきである。
  ジャーランダラにおいて、なして、バンダにおいて、16・基礎・バンダを、
  ジャーランダラ・マハームドラーが、死の、また、破壊・為す。
 
 
 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

以下が、ジャーランダラ・バンダの話である。
喉の収縮をなして、顎を心臓部に据えるべきである。
ジャーランダラ・バンダがなされた時には、
16のアーダーラが塞がれる。
ジャーランダラとマハームドラーとは、死を破壊する。

 ◆ ポイント解説

ウッディーヤーナの次、ジャーランダラ・バンダの解説に入っています。再び3行で1節の構成になっています。

これは既に登場したバンダです。どこで登場したか思い出せるでしょうか。

そしてさらに、冒頭の「kaṇṭhasaṃkocanaṃ kṛtvā」も既出の表現で、かつて2:26でこの表現が登場した時に、さらに前の部分との対照で、この表現がジャーランダラ・バンダの言い換えでは?という問題提起をしてみました。

それがここに来て完璧に整合性を持って実現されたことになります。私は前もってこの部分の表現を知っていて書いたわけではなく、登場する表現を読み込む中で類推したことでしたが、これは私の読みが鋭いわけでもなんでもなく、もともと作者さんがそのように文章を構成したということで、私は文章を素直に読んでいってそのことに気付いたというだけのことだと思います。

そして、後半に、訳では「16のアーダーラが塞がれる」とした「ṣoḍaśādhārabandhanam」という今までにない表現が登場しています。アーダーラについては今のところ何の情報もなく進行してきましたよね。それがここに来て突然にこれを知っているという前提で論が展開されたことになります。このような事項、今までにもいくつかありましたよね。今後これがこのゲーランダの中で解説されることがあるのか、引き続き残りを読み進めてみたいと思います。

ちなみに、「塞がれる」とした元の単語が「bandhana」で、これがバンダのバンダたるゆえんの語ですね。つまり、バンダをするからバンダと呼ばれているというわけで、ここでも「塞ぐ」という訳は最適とは言えず、「バンダする」と言った方が、本当は行法としてのバンダとの兼ね合いもわかる訳とは言えます。

つまりバンダとはどのようなことをする行法なのかがこの語に託されており、それを検討するところから読解が始まっているということですね。お読みの方はそこからお読みくださればと思います。

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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第1025号 完)
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         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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