サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第963号『ゲーランダ・サンヒター』1:52

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.01.19.◆第963号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 1:52

◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 1:52 ================

◆ 本文(原文)

अथ लौकिकीयोगः।
अमन्दवेगेन तुन्दं तु भ्रामयेदुभपार्श्वयोः।
सर्वरोगान्निहन्तीह देहानलविवर्द्धनम्॥५२॥
atha laukikīyogaḥ
amandavegena tundaṃ tu bhrāmayedubhapārśvayoḥ
sarvarogānnihantīha dehānalavivarddhanam (52)
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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

atha さて、それでは
laukikī ラウキキー
yogaḥ 実施、適用、使用、応用、手段、方策、活動
amanda 怠惰でない、活発な、快活な、注意深い、
vegena 衝動、力、速力、速度
tundam 腹
tu しかし、また
bhrāmayet 頻りに動かす、あちらこちらに動かす、輪状に動く、回転する
ubha 両方
pārśvayoḥ 側面、脇

sarva 全ての、一切の
rogān 病気、疾病、患部
nihanti 襲う、攻撃する、無効にする、破壊する、除去する
iha ここに、今、瞬時に
deha 身体
anala 火、アグニ
vivarddhanam 増長、増益

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)

 さて、ラウキキー・実施である。
 活発な・速度によって、腹を、まさに、動かすべきである、両方・側面の、
 全て・病気を、除去する、ここに、身体・火・増長する。


 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

 以下が、ラウキキーの作法である。
 活発な速度で、腹を両側に動かすべきである。
 これは一切の病気を除去し、身体のアグニを増大させる。

 ◆ ポイント解説

また「atha」の仕切り直しが入ってラウキキーと呼ばれる行法が紹介されています。前の部分、6種の行法が紹介された時にはネーティの後は「laulikī ラウリキー」という名前が挙げられていましたが、おそらくはそれを指しているのでしょう。

冒頭の「amandavega」を「活発な速度」としましたが、「vega」をスピードではなく力や勢いと読むこともでき、その場合は速さではなく力のほうに力点が置かれていると読めます。また作者さんの意識には両方があると読むこともできそうです。

後半の一行は以前これとそっくりな表現があったことを思い出せますでしょうか?それは1:16、ヴァータサーラ解説で登場した表現でした。

前号でも書いたように、効用が同じということは、これを軸に見れば二つの行法にはなんらかの同様の作用が見られていると考えられますね。それをヴァータサーラ、またこちらラウリキーを共に考察するポイントとして読むことができそうです。


ゲーランダではこのラウキキー、またはラウリキーはこの一節で解説が終わりです。ずいぶんと素っ気ない解説ですよね。

プラディーピカーではナウリという名称で、2節を用いて操作と効用解説とを分けており、最後にハタの行法の頂点と位置付ける記述があったのでした。今の日本ではラウリキーよりもナウリの方が通りが良い名前かもしれません。

ラトナーヴァリーでは4節を費やして、プラディーピカーと同様にハタの頂点に位置付けながら、さらに2種があるとして「外」と「内」とを分けて、「外」はゲーランダやプラディーピカーと同様の方法でしたが、「内」ではイダーとピンガラーとを回転させるという、かなり高度な操作だったのでした。

ここにもプラディーピカーと差別化させたいラトナーヴァリーの作者さんの意識が伺えますね。これまた前号で書いたように、他の教典を参照することで読み深められる例と思います。
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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第963号 完)
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         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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