サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第1044号『ゲーランダ・サンヒター3:25』

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.05.26.◆第1044号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 3:25

◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 3:25================

◆ 本文(原文)

画像1

atha khecarīmudrākathanam
jihvādho nāḍīṃ saṃcchinnāṃ rasanāṃ cālayet sadā
dohayennavanītena lauhayantreṇa karṣayet (25)

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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

atha さて、それでは
khecarīmudrā ケーチャリームドラー
kathanam 物語、記述、報告

jihvā 舌
adhaḥ 下に、地上に、下方に、下界に
nāḍīm 管、裂け目、割れ目、空洞、脈管、ナーディー
saṃcchinnām 断ち切る、除く、貫く
rasanām 草木の汁、液、液体、心髄、味、風味、樹脂、舌
cālayet 動揺させる、震わせる
sadā 常に

dohayet 搾乳する、利益を得る、引き出す
navanītena 新鮮なバター
lauha 銅、金属
yantreṇa 道具、小刀
karṣayet 引く、運び去る、耕す

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
  
  さて、ケーチャリームドラー・話である。
  舌、下の、管を、断ち切られた、舌を、動揺させるべきである、常に、
  絞るべきである、新鮮なバターによって、金属・道具によって、引き出すべきである。

 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

  以下が、ケーチャリームドラーの話である。
  舌下の管を断ち切り、常に舌を動揺させるべきである。 
     新鮮なバターを用いて磨り、金属の器具で引き出すべきである。

 ◆ ポイント解説

ここからケーチャリームドラーの解説に入ります。プラディーピカーでは3:32から語られており、やはりこちらとはだいぶ違った記述となっていて、相互参照することで相互に読み深めができると思います。

ところで、原文を読んで気づくことがありませんか?
それは既にこれと似たような内容があったのですね。1章の舌根のダウティのくだりです。改めて原文と翻訳を記載してみます。

 mārjayennavanītena dohayecca punaḥ puhaḥ
 tadagraṃ lauhayantreṇa karṣayitvā śanaiḥ śanaḥ (31)
 また、その先端を金属の器具を用いて、ゆっくりゆっくりと引き出して、
 新鮮なバターを用いて磨り、繰り返ししごくべきである。

かなりの表現が共通していますよね。原文の順序はこのように舌根のダウティが先、ケーチャリームドラーが後ですが、表現としてどちらかがどちらかを踏襲していることはまず間違いないのではと思えますね。プラディーピカーでは舌根のダウティの記載は無かったもので、これらの組み合わせはゲーランダに特有の、もしくはさらに別のソースがある表現と言えるでしょう。

このケーチャリーはゲーランダは異例ともいえる長い解説となっています。何節あるのか、内容がどのようであるのかは読んでみてのお楽しみとしてみましょう。

もうひとつテーマを提出してみたいですが、佐保田さんの翻訳には、この節にケーチャリー・ムドラーという名称の記載の後に(空中飛行のムドラー)という補足がしてあります。これは底本は違いますが、おそらく原文には無い文章で、佐保田さんが付け加えられたものと思われます。

なぜ佐保田さんはここにこの文を入れたのでしょうか。このムドラーによって空中を飛行する能力が得られるとでもいうのでしょうか。その理由や可否についても、読み進めていく中で考察してみたいものと思います。

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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第1041号 完)
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         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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