サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第1014号『ゲーランダ・サンヒター2:40』

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.03.25.◆第1014号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 2:40
◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 3:40================

◆ 本文(原文)

画像1

atha makarāsanam
adhyāsyaḥ śete hṛdayaṃ nidhāya bhūmau ca pādau ca prasāryamāṇau
śiraśca dhṛtvā karadaṇḍayugme dehāgnikāraṃ makarāsanaṃ tat (40)

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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

atha さて、それでは
makarāsanam マカラ・アーサナ、マカラーサナ
adhi 下に
āsyaḥ 顔、口、顎
śete 横たわる、よりかかる、休む、眠る
hṛdayam 心臓、胸
nidhāya 置く、固定する、与える、決定する
bhūmau 大地、土地、国土
ca また
pādau 足

ca また
prasāryamāṇau 延長する、拡大する、伸張する

śiraḥ 頭
ca また
dhṛtvā 把持する、担う、着用する、保持する、支持する
kara 手
daṇḍa 棒、鞭、茎、杖
yugme 偶数の、対、夫婦
deha 身体
agni 火、アグニ、アグニ神
kāram なす、生じる
makarāsanam マカラ・アーサナ、マカラーサナ
tat それ

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
  
  さて、マカラ・アーサナである。
  下・顔・横たわる、胸を、置いて、大地に、また、両足を、また、伸ばしつつ、
  頭は、また、把持して、手・棒・対に、身体・火・生じる、マカラ・アーサナである、それは。

  
 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

  以下が、マカラ・アーサナである。
  顔を下にして横たわり、心臓部を地面に据え、また両足を伸ばし、
  頭を両手で把持する。それが身体の火を生じる、マカラ・アーサナである。

 ◆ ポイント解説

シャラバの次、マカラ・アーサナです。マカラとは伝説の魚の名前で、これが何の魚、または動物なのかいろんな説があります。仏典などを通じて古来日本にも伝わってきた魚で、摩竭(まかつ)、または摩竭魚と呼ばれます。この名前で検索するといろんな画像が出てきておもしろいですので、ご興味がおありの方は試してくださればと思います。

さて、そんなマカラ、摩竭ですが、文章を見るとすぐに気が付くことがありますね。それは前節のシャラバと冒頭が同じであることです。比較しやすいように、ローマ字の原文と、訳とを分けて並べてみます。

 atha śalabhāsanam
 adhyāsyaḥ śete karayugmaṃ vakṣe bhūmimavaṣṭabhya karayostalābhyām
 pādau ca śūnye ca vitasti cordhvaṃ vadanti pīṭhaṃ śalabhaṃ munīndrāḥ (39)

 atha makarāsanam
 adhyāsyaḥ śete hṛdayaṃ nidhāya bhūmau ca pādau prasāryamāṇau
 śiraśca dhṛtvā karadaṇḍayugme dehāgnikāraṃ makarāsanaṃ tat (40)


 以下が、シャラバ・アーサナである。
 顔を下にして横たわり、両手を胸の高さに、両掌で地面を支えて、
 また両足を空中に1ヴィタスティ上げる。
 聖賢方がシャラバ(いなご)と呼んだアーサナである。

 以下が、マカラ・アーサナである。
 顔を下にして横たわり、心臓部を地面に据え、また両足を伸ばし、
 頭を両手で把持する。それが身体の火を生じる、マカラ・アーサナである。

冒頭の「adhyāsyaḥ śete」つまり「顔を下にして横たわり」が共通しています。ということは基本的な姿勢が同じということで、作者さんもそれを意識して文を同じにしたと考えられますね。

この節も既出の単語や表現が多く、それらを比較することで相互に読み深めができます。どれがどこで登場した語かわかるでしょうか。

後半の「身体の火を生じる」とした「dehāgnikāram」は同じ表現ではありませんが、早くも1:16のヴァータサーラ解説で「dehānalavivarddhakam」と同義的と思われる表現が使われていました。

また1:21のダウティでは「jaṭharāgniṃ vivardhayet 胃の火を増大させるであろう」という表現があり、また1:49のバスティでは同様に「jaṭharāgnimāmavātam 胃の火を増大させる」という表現がありました。

微妙に表現が異なるこれらが同じものを指しているのかそうでないのかからしてテーマとなりますが、直線的に読んだだけでは理解できない部分があれこれと読めてくると思い、いつもながらこうした読みはある程度の深さで読むには必須のものと思います。ここではひとつ取り上げましたが、他の単語や表現も同様に検討していただけたらと思います。

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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第1014号 完)
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         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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