サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第1047号『ゲーランダ・サンヒター3:27』

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  サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.05.31.◆第1047号◇

  目次 

     ◎ ゲーランダ・サンヒター 3:27
◆ 本文 
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記


=◎ ゲーランダ・サンヒター 3:26================

◆ 本文(原文)

画像1

rasanāṃ tālumadhye tu śanaiḥ śanaiḥ praveśayet
kapālakuhare jihvā praviṣṭā viparītagā
bhruvormadhye gatā dṛṣṭirmudrā bhavati khecarī (27)

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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)

rasanām 舌
tālu 上顎、口蓋
madhye 中の、中央の、中間の、平凡な
tu しかし、また
śanaiḥ śanaiḥ 徐々に、ゆっくりと
praveśayet 入らせる、導く、入れる、置く、投げ入れる

kapāla 皿、鉢、器、頭蓋
kuhare 洞窟、穴、交接
jihvā 舌
praviṣṭā 入った、入れられ
viparīta 反対にされた、反する、反対の、逆の
gā 行く

bhruvoḥ 眉
madhye 中の、中央の、中間の、平凡な
gatā 行く、赴く
dṛṣṭiḥ 視力、視覚、知能、目
mudrā ムドラー
bhavati である
khecarī ケーチャリー

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 ◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
  
  舌を、上顎・中央に、また、ゆっくり、ゆっくりと、入れるべきである。
  頭蓋・孔に、舌が、入った、反対に、赴いた、
  両眉の、中央に、赴いた、視線が、ムドラー、である、ケーチャリー。


 ◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)

   舌を上顎の中に、ゆっくりゆっくりと差し入れるべきである。
   逆行させた舌が、頭蓋の孔に入り、眉間に視線を送る、
   これがケーチャリー・ムドラーである。


 ◆ ポイント解説

前号では配信する節の順序を間違えて、次の28節を配信してしまいました。たまたま、まぐまぐ!配信号で、前後の入れ替えができませんので、このまま号数はそのままで、今号で抜けた27節を配信いたします。

ここではケーチャリームドラーの動作の解説の続きです。通常より長い、3行分で1節を形成しています。

これはプラディーピカーでは3:32で語られた内容に似ています。プラディーピカーではこの節がケーチャリー解説の一番初めで、この内容をケーチャリームドラーの定義として語っている体だったのですね。それがこちらでは解説の3節目に位置付けられていることになります。いつもながらこの違いも興味深く、また考察の余地があるところと思います。

節が前後して流れがわかりにくくなりましたので、ケーチャリーの初めから翻訳のみを並べてみます。前号ではこの先の1節「phalakathana」の1節を先に解説してしまったのですが、そちらは次号でその次の節を解説しますので、そちらとともに改めて並べてみることにします。

  以下が、ケーチャリームドラーの話である。
  舌下の管を断ち切り、常に舌を動揺させるべきである。 
  新鮮なバターを用いて磨り、金属の器具で引き出すべきである。(25)

  このような常の実践から、舌が長くなりゆき、
  眉間に届くに至るであろう。その時にケーチャリーが完成する。(26)

  舌を上顎の中に、ゆっくりゆっくりと差し入れるべきである。
  逆行させた舌が、頭蓋の孔に入り、眉間に視線を送る、
  これがケーチャリー・ムドラーである。(27)

ところで、最後の行の「bhruvormadhye gatā dṛṣṭiḥ」はこのまま既出の表現です。どこで出てきたでしょうか。

それは2:23、アーサナ解説の中のマツイェーンドラ・アーサナで登場したものです。改めてそちらの原文と翻訳を並べてみます。

  tatra yāmyaṃ kūrparañca yāmyakare ca vaktrakam
  bhruvormadhye gatā dṛṣṭiḥ pīṭhaṃ mātsyendramucyate (23)

  そこに右の肘を、また右手に顔を置くべきである。視線は眉間に送る。
  この姿勢が、マツイェーンドラと呼ばれる。(23)

用いられている表現が全く同じですよね。作者さんの意識では両者に繋がりがあるでしょうか。もしあるとすると、マツイェーンドラアーサナとこのケーチャリームドラーとに何らかの共通点があるということですね。

ではもしあるならその共通点とはどのようなものでしょうか。また、さらに掘り下げて、なぜ両者は一見必要無さそうな、眉間を注視するという事項を加えているのでしょうか、その操作にどのような意味があるのでしょうか。わざわざ付け加えているからには、明確になんらかの意味があるはずですよね。そんな観点から両者を見直してみるのも面白いかもしれません。

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  詳細解説はブログで

  https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576

                       (第1047号 完)
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         発行者  誠  samskritamakoto@gmail.com

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