サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!第973号『ゲーランダ・サンヒター』2:1
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サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2022.01.29.◆第973号◇
目次
◎ ゲーランダ・サンヒター 2:1
◆ 本文
◆ 単語の切れ目・意味
◆ 原文の語順訳
◆ 日本語訳
◆ ポイント解説
◆ 編集後記
=◎ ゲーランダ・サンヒター 2:1 ================
◆ 本文(原文)
अथ आसनानि।
घेरण्ड उवाच।
आसनानि समस्तानि यावन्तो जीवजन्तवः।
चतुरशीतिलक्षाणि शिवेन कथितानि च॥१॥
atha āsanāni
gheraṇḍa uvāca
āsanāni samastāni yāvanto jīvajantavaḥ
caturaśītilakṣāṇi śivena kathitāni ca (59)
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◆ 単語の意味(連声を切った後の、各単語の意味)
atha さて、それでは
āsanāni アーサナ
gheraṇḍaḥ ゲーランダ
uvāca 言う、語る
āsanāni アーサナ
samastāni 結合された、組み合わされた、全体の、全ての
yāvantaḥ ~に至るまで
jīva 生命の本源、生命の息、霊魂、ジーヴァ
jantavaḥ 子、子孫、生物、実在するもの、人
caturaśīti 84
lakṣāṇi 印、目標、外見、物体、10万
śivena シヴァ神
kathitāni 語られた
ca また
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◆ 原文の語順訳(原文を原文の語順と発想のままで読むための訳)
さて、アーサナである。
ゲーランダは、言った。
アーサナは、全ての、至るまで、生命・実在が、
84、ラクシャが、シヴァ神によって、語られた、また。
◆ 便宜的な意味(上の訳を自然な日本語の語順、流れになおした訳)
以下が、アーサナである。
ゲーランダは、言った。
アーサナの総数は、生類の数だけ存在するが、
またシヴァによって84ラクシャが語られた。
◆ ポイント解説
前号で1章の締めの文を読みましたが、ここから明確に章が変わって2章に入っています。まず冒頭に例によって「atha」が入り、その内容が提示されており、それが「アーサナ」です。これからアーサナが語られるという宣言になっています。
現在ヨーガ、ヨガと言えばこのまずこのアーサナが主流で、おそらく一般的にはヨーガ=アーサナとの先入観を持たれる方がほとんどのものでしょう。それがゲーランダではどのように語られるのかが楽しみですね。
この節を読まれて、私の既刊、プラディーピカーやゴーラクシャシャタカをお読みの方は既視感があるものではと思います。特にゴーラクシャシャタカはこのアーサナを著作の冒頭から語るという、他の教典には無い特徴を持っていましたが、冒頭の5節と6節とでこの文にそっくりの内容が展開していました。ゴーラクシャシャタカをお持ちの方はそちらと比較していただけたらと思います。
お持ちでない方のために簡単に解説しますと、ラクシャというのは数の単位で1ラクシャ=10万です。つまり84ラクシャ=840万ということですね。
そしてアーサナというのは本来生類の数と同じだけあると言っています。これは非常に面白い発想で、なぜ生類の数=アーサナの数、なのかの考察も意義があるものではと思います。
さらにその数が84ラクシャと言っており、つまり生類の数=アーサナの数=84ラクシャ=840万、ということです。
これがこの節から読み取れる情報ですが、次の節まで内容が続いていますので、次節を読んで改めてこちらも含めて総括してみたいと思います。
ちなみに、佐保田さんの訳ではこの部分を「八千四百万」と訳されています。数が一桁多いのです。なぜこうなったのか、原文の掲示がないので定かではありませんが、おそらく原文は同じ84ラクシャと思い、もしそうだとすると誤訳ということになります。
佐保田さんの訳の誤りは既に見てみたことがありますが、今でもとても珍重される訳で、場合によっては今でも佐保田さんの訳に則って論を形成するブログなどあるようです。佐保田さんの訳の枠組みからまだ抜け切れていないわけです。
この場合も、佐保田さんの訳を鵜呑みにして、アーサナには8400万があると論を展開したら、誤りの孫引き、誤りの伝播になってしまいます。
もちろん先達のご業績は素晴らしく、今でも大いに学ぶべき点もありますが、不足は不足、誤りは誤りとして正しく認識し、一面においてもうそろそろそこから先に進んでも良いのでは、と思いこのような原文から読む作業をしている、ということもありますね。
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詳細解説はブログで
https://note.com/sanskrit/n/n4ede84f58576
(第973号 完)
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発行者 誠 samskritamakoto@gmail.com
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