【理想の三線探偵団02】 自作三線・手作り三線の図面はこちら
さてみなさんこんにちは
前回の記事では、実際の三線のリアルな寸法を実測しながら、30年前から近年の作例にかけて、三線の棹が「太く・重くなりつつある」ということを数値でお知らせした次第です。
それを踏まえて、理想の三線・究極の三線を捜し求める旅を続けているわけですが、いっそ「自作したい!」という人のために三線の各部の詳細がわかる資料をおつけしようと思います。
もちろん、実物から写し取ってもいいのですが、良いデータがあったので、ご紹介。
「沖縄県立博物館 研究紀要 第26号 2000年」より「博物館における三線づくり
https://okimu.jp/userfiles/files/page/museum/issue/bulletin/kiyou26/26-7.pdf
このデータが面白いのは、ちょうど20年前の「まだ棹が細かった頃」の作例が詳細な寸法として記録されているところです。
たとえば、「最薄厚み」は20ミリ、「中間厚み」に相当する箇所でも24ミリしかないことがわかり、近年の作例で見られる26ミリはやはり分厚いことがわかります。
残念ながら棹幅については記載がないものの、糸蔵幅が12ミリであることなどもわかります。また、あまり類例がないチーガの製作寸法なども役に立ちそうです。
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実は「又吉三線屋」さんというところのサイトに貴重なお話が載っているので、それを読むのも「理想の三線」への参考になります。
http://matayosi-sansin.sakura.ne.jp/yasumisansin3.html
詳しくは記事もとのサイトを訪ねてくださいね!
ポイントは
◆ 開鐘の木材は、けして良いものばかりではない。材が波打ったものもあるし、ゆし木のものもある。
◆ 三線の寸法は野の長さ「一尺五寸八分」
しかし、古いものは、「一尺五寸三分から一尺五寸六分」つまり、短い。
◆ 古いものは現代の三線よりも「細い」
というあたりでしょうか。
これは、これまでのよもやま話でわたくし左大文字が書いてきたことと基本的に共通しています。
つまり、今の三線は「太くて重くて、かつ”長い”」ことが今回加わったわけですね。
追加して、又吉さんは「現代人の求める甲高い音とは、昔の音は違う」ということを書いておられますが、これも、以前に書いたとおり
「昔は人力だけで張っていたので、皮を今のようにパンパンに張れない=つまり、あえて悪い言い方をすれば音がまるっこい、ボヨンボヨンに寄っていく方向である」
ということに繋がるのだと思います。
人力でのパンパンは、すなわちジャッキでのボヨンボヨンであり、ジャッキでのパンパンは、すでにキンキン・カンカンの領域に差し掛かっているということです。
うちにある三線で、かなり近年の作例だと思われるものに、人工皮の10分張りに近いものがあります。
これはもはや、弦を装着しない状態で皮を叩くと「キンキン」という金属音に近い響きを持っています。めっちゃくちゃ張ってあるな!という状態。
こういうサウンドが出せるのも、鉄製ジャッキのなせる業ですね。
さて、これで「棹の材質は別にしても、理想の棹は細め、小ぶり」でイメージしても全然問題ないことがわかりました。
そして、又吉三線屋さんのお話ではないですが、「黒木にこだわらない」のもひとつの考え方としてアリだとわかりました。
さらに、今回は引用していませんが、琉球王国時代の棹には「継ぎ」が入って、木材をあわせてある楽器がいくつも存在していることが、沖縄県立博物館の調査で判明していることから、ぶっちゃけ「継いでもOK」ということも、念頭においてよいわけです。
そこでつぎの第三回は、チーガ、胴について検討してゆきたいと思います。
(つづく)
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