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【”シン・サンシン”プロジェクト04】三味線系楽器にも「スケール」がある


 ”シン・サンシン”という考え方は、簡単にいえば「三線や三味線を世界楽器にする」というものです。

 ところが、現状の三線や三味線は、「海外の人に親しまれる」ということはあるものの、「世界楽器」にはなっていません。

 なぜかというと、たとえば人間で言えば

「帰化して日本人になることは認める」

けれど

「英語や外国語を話す日本人として世界に飛び出す」

ということはやっていないからです。


 なので、海外の人がサンシンやshamisenを触る時には、「工工四」を覚えなくていけなかったり、文化譜を学ばねばならなかったりします。これが、「日本に帰化することを望む」という実態です。


 邦楽の業界にどっぷり浸かっていると、「え?それの何が変なの?ダメなの?」と感じるのが普通です。三線を学びたいなら、工工四は必須でしょう、と。三味線を学びたいなら、当然、文化譜から入ろうよ、と。


 ところが、世界楽器の概念では、そんなものは最初からぶっ飛んでいて、スペインなどのヨーロッパのごく一部の地域の民族楽器だった「ギター」は、もはや世界中でジャンルを限らず好きなように演奏されているし、好きなように改造されています。

 もちろん、発祥の地の文化である「フラメンコギター」などは、そのまま残っています。それはそれで当然OK。

 けれど、ロックバンドをやりたい人に、「まずはフラメンコギターから入るべきだ」なんてことを言う人はいないのと同じように、別に三味線は文化譜から入る必要はないのです。世界楽器であるのなら、好きなように弾けばいいだけ。


 さて、三味線系楽器は「世界楽器」になれる要素や資格は十分に備えているのですが、ジャンルや流派が細分化され、「それぞれの派閥の中」だけでしか捉えられていないので、発展はどんづまりです。


 そこで、今回は、「三味線系楽器の、秘められたポテンシャル」を示すために、動画を用意しています。すでにご覧になった方もいるかもしれませんが、ひそかに高い評価を得ている「驚き」の内容です。


 この動画は、三味線系楽器を本調子でチューニングすると、「ライン」を押さえてゆくだけで、いろんな音階を簡単に出せることを示しています。

 考え方はギターのスケールとまったく同じですが、ギターのスケールは「同一線上(同一ライン、同一ポジション上)に、スケールの運指が並ぶ」ということはありません。

 しかし、三線や三味線では、これがなんと「同一線上に並ぶ!」のです。


 これは、意味を理解しないと全然何を言っているかわからない話かと思いますが、ギタリストであれば、この話はビックリすると思います。

「三味線って、すげえな!」

と驚かれること間違いなしなのです。ギターより、すげえ!と。


 動画でもある程度わかりやすく説明していますが、実はこのことは、

https://sanshinism34.blogspot.com/2008/03/ism_2.html

すでに2008年には記事を書いていました。

 しかし、この記事をパッと見ても、何を言っているのかわからないと思うので、今回改めて動画にした次第です。


 さて、三味線楽器をスケールで捉えると、どんどん世界楽器に近づくことがわかると思います。つまり、工工四などで規定されたポジションや、文化譜や地唄のポジション、ツボは

「それぞれの民謡音階にしばられたスケールの内側だけで弾いている」

ということなのです。特に三味線の専門家、三線の専門家ほどそうなります。

 だって、沖縄民謡では、都節音階の運指は行わないのだから。逆もまたしかりです。


 というわけで、まずはアタマをやわらかくして、三味線や三線という楽器をニュートラルに捉えなおしてみてくださいね!





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