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【坩堝】

ずっしりとしたリュックを背負い、夜行バスを後にする。
右に歩けば人、左にも人、人。
なんだか落ち着かない。
こんな早朝から、東京はまざまざと呼吸しているじゃないか。

僕の住んでいた町では、こんなにも人の息づかいを感じたことはない。
奇抜な格好をしただけで、町中から好奇の目にさらされる、そんな田舎だった。
それが息苦しくて、上京した僕。

それに比べ、東京は無関心だ。
様々な性別、性格、人種、があんなにも呼吸しているのに目もくれない。
全く寂しくないと言えば嘘になるけれど、僕は随分と呼吸しやすくなった。

僕なんてちっぽけだ、
坩堝に飛び込んで、そう知った。

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