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保有銘柄紹介|オプテックスG【6067】

今回は現時点で組み入れ比率2位のオプテックスグループ。
カテゴリー:バリュー/電気機器
屋内外の防犯、自動ドアセンサーや工場向けの産業用センサーを展開。業界トップ級で海外比率5割の業績良しのグローバルニッチ企業です。
よろしくお願いします。

事業概要

オプテックスグループは連結子会社40社と関連会社1社で構成されている。事業区分は主にSS事業(センシングソリューション事業)IA事業(インダストリアルオートメーション事業)である。以下解説

①SS事業(売上比率44%)
防犯・自動ドア用カメラやセンサー製造・それに付随する各種システム開発。防犯関係で主な製品は屋内外に使われる各種センサー。そして屋外用センサーでは世界トップクラスのシェアを持つ。

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また、近年では自社の技術を生かしてマイクロウェーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

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西日本高速道路関西株式会社より (https://www.w-e-kansai.co.jp/image/pdf/vehicle_detector.pdf)

②IA事業(売上比率53%)
FA用光電センサーや画像処理用LED照明装置や制御装置、産業用コンピュータシステムや自動化機械装置の開発製造。主な製品は品質管理や自動化のための光電センサー等で、食品や医薬品業界を中心に幅広く使用されている。
独のSICKAG社と技術提携をし、海外でも幅広く販売している。

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市場環境

①SS事業
古いレポートにはなるが、2020年以降、市場規模の大きいイベント監視/通報関連機器分野や危機管理/事故防止対策分野,監視カメラシステム分野が堅調なほか,アクセスコントロール分野や自動車分野などは大きく伸びるとみている。2022年のセキュリティ関連市場は8.9%増の1兆741億との予想。
自動ドアの市場規模は、~2026までのCAGRは6%を見込んでいる。(株式会社GIIレポートより)

②IA事業
ResearchStation.LLCによるとFA(ファクトリーオートメーション)世界市場規模はGACR8.2%で推移し2021年で1331億ドル、2026年には1978億ドルに達すると予測された。一般にFAは産業用ロボットを想像するが、音や匂いなどこれまで人間でしかできなかった工程の自動化も含まれる。そしてこうしたFA装置において重要な役割を果たすのがセンサーであり、技術の発展により、人の補助ではなく主体的にセンサーが活躍する未来は必然である。

業績

直近の四半期決算では、売上は+31.6%、営利は+120%となった。IA/FA事業が特に堅調に推移した。売上営業利益率は前年同期の8.6%→6.9%に悪化したが、これは子会社化による販管費の増加である。半導体などサプライチェーンの遅れがあったにもかかわらず売上利益ともに過去最高を更新した。

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通期では大幅な増収増益となった2021年12月期であったが、部品不足や物流混乱による供給遅れが影響し、下期の売上・利益は伸び悩んだ。セグメント別に見ても、20年12月期第2四半期もしくは第3四半期をボトムに各セグメント共に回復してきたが、SS事業(自動ドア関連)以外は21年12月期第2四半期がピークとなった。22年12月期も部品不足の状況は継続すると見られる中、同社は顧客との信頼関係維持のため製品の提供を最優先課題と位置付けており、一定程度のコスト上昇は避けられないと思われる。第1四半期(1‐3月)の状況を待ちたい。

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来期は売上高+15.6%、営利は+29.6%と最高益更新を見込んでいる。子会社のオプテックスクラウド型防犯監視システムをアジア向けに展開していくことも発表し、その寄与も期待される。さらに売上海外比率が半分以上であるため、現在122ドル/円は当社が予想している110ドル/円より円安となっていて利益の貢献が予想される

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強み

①グローバルニッチで高シェア商品が多い子会社を持つ
世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーはもちろん、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。

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②ESGを考慮した商品設計
下記の他にも
・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現
・RoHS指令適合、無鉛はんだ化
・使用時のCO2の影響を最小化する設計を公言しており、HPトップにESG情報を設け、同社が発行するESGレポートにはESG投資においての情報開示に積極的である。(https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2021/05/210511_6914.html)

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収益性

【現状】営業利益率:11.32% ROE:13.12%
製造業にしては高い自己資本比率(60%)であるがROEもかなり高いので高収益体質であるとわかる。
【将来 2024】営業利益率15% ROE:10% *製造業平均は6.15%、非製造業は7.28%
製造業は大規模な設備投資があるため低くなりがちである。また、オプテックスはM&Aに積極的でありそれがBSに連結されるが、高い収益率を目指している。

リスク

半導体のサプライチェーンの乱れ
⇒オプテックスのサプライチェーンは全世界に広がっていて、海外売上高比率が50%を超える同社は、世界中の顧客へ製品供給を迅速かつスムーズに行うために、世界4極にハブ倉庫(欧州・香港・日本・北米)を設置し、柔軟性と拡張性の高い独自のサプライチェーンを構築している。
リードタイムの短縮、物流コストの削減による信頼性の向上を実現している。

将来予測

【中期経営計画】
①連結営業利益100億 売上成長率10% 営業利益率15% ROE10%以上

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②M&Aによるシナジー
通常のモノ売りからコト売りへ→後ほど解説

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③モノ売りからコト売りへ(ソリューションサービスへの転換)
今まではいい性能や品質の製品を提供することが中心だったが、これからは顧客が何を課題としているか。その課題に向けた製品を作る「課題解決型製品」の推進を強く進めている。
(成長戦略1)画像認識ソリューション
屋外センサーを使ったアラームモニタリングの契約件数は1億件弱(うち欧米.米国で半数)。しかし警報の95%が誤報である。この誤報の原因は、警報=出動になるシステムである。この問題解決をするために屋外センサーと画像ソリューションでトップシェアである同社により、センサーとカメラをセットでつけることにより誤報をなくす企みをしている。また、同社はこれをサブスク型課金システムでの販売を展開する。低コストでの取り付けが可能で誤報の可能性の低い同システムはユーザー、モニタリング会社、警察を含むすべての関係者にメリットがあると考えており、WIN-WINなビジネスモデルの普及を目指していくそう。

(成長戦略2)自動ドアDX
①自動ドアから得られるデータ(稼働情報、速度などの各種設定値、エラー情報)を提供する自動ドアデータプラットフォームとして機能し、保守メンテの効率化うを目指す。

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②ビーコンを使い、自動ドアオーナー(店)とスマホアプリを連携させ、効率的なプロモーションやマーケティングの効率化を図る事業機会の創出を目指している。

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株価(4/6時点)

①PER 14倍(過去5年平均27.79倍) PBR1.84倍(過去5年平均2.2倍)
時価総額686億円 
②株主構成(浮動株9.7%, 特定株44.0% 外国比率30.9% )

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Exit戦略 3/11買い

同社が進出しているセグメントでは同社はトップのシェア・技術を有するが、DXなどと違いCAGRが低い。より大きい成長を見込み中期経営計画を達成するには成長市場に進出せざるを得ないだろう。さらなる拡大意欲が結果に表れなければ成長は止まってしまう。

まとめ

グローバルニッチトップにも選ばれた高シェア企業であり、今のところは会社のIR戦略にも期待できるHPであった。社長も、老舗でありながらベンチャースピリットを大切にしていきたいと意気を見せており、今後の活躍に期待したい。

備考

1979年に創立した翌年に赤外線利用の自動ドア用センサーを世界で初めて開発した企業。また、ESG Bridge Reportのインタビューでは近江商人の金言である「売り手よし、買い手よし、世間よし」をオプテックス流に変え「己よし、相手よし、世間よし」として大切にしているそう。
⇒顧客に喜んでもらえらえれば自己も成長でき、競合他社がいるから切磋琢磨でき自己も成長でき、画期的な商品が提供できれば世間がよくなるという理念だそう。

読んでいただきありがとうございました!大学とバイトが始まるのでなかなか更新できないかもしれませんがゆっくり確実に書いていきます。

次回は今もリーマンショック時も連続最高益を出している、企業間のインフラ的企業、信用保証サービスののイーギャランティ【8771】です。

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