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ユーザー解像度向上のため、プロダクトデザイナーが簿記3級を取ってみた話


はじめに

この記事をご覧になった皆さん、はじめまして!
Bill Oneのプロダクトデザイナー兼マネジャーのみそんと申します。
2011年に韓国から日本に来てから、2014年1月にSansanに入社し、今年で勤続10年になります。
現在はSansanの新規プロダクト「Bill One」や「Contract One」「Order One」のデザインチームに所属しています。この記事では、Bill Oneのデザインチームで取り組んでから得た、ちょっとした学びをシェアします。



本題に入る前に、Bill Oneとはどういうサービスなのか?
以下のURLからぜひチェックしてみてください。


経理ユーザーの日々の業務をもっと具体的に知りたい!

Sansanでは自社サービスを全社で積極的に利用し、PdMやデザイナーといったプロダクト側のメンバーにどんどんフィードバックすることでプロダクトを良くしていく文化があります。
請求書管理業務をメインとするBill Oneも社内の経理を含め、全社員が利用しています。
プロダクトデザイナーはいつでも他職種のメンバーに気軽に声を掛けて、体験設計中のプロトタイプを操作してもらい、改善につながるフィードバックをその場で受けることもできます。

そんな日々の中、なぜ簿記3級を取得しようとなったのか?きっかけは「仕訳機能」の体験設計でした。

仕訳とは、企業や個人事業主が行ったすべての「取引」を「帳簿」に「記載」する作業で、経理業務の基本です。恥ずかしながら、この仕訳業務がどういったものかをしっかり理解せず仕訳機能の体験設計を始めていたのです。業務の理解が浅かった分、作ったプロトタイプを対象ユーザーに試してもらい、フィードバックをもらってもそのフィードバックすらよく分からない、といった悪循環が生まれます。結果、対象ユーザーにとっても本当に使いやすい体験を作れているか不安な状態になってしまいます。

業務理解が浅いまま体験設計を行うことから起きる問題は、私だけではなく、チームメンバーも同様に感じていました。その課題を解決するため、経理部長に「全デザイナーで経理業務を1日でも体験させてください」と相談したところ、経理部長からは「経理業務を正しく理解するために、まずは簿記3級の取得がおすすめです」と回答されました。
「分かりました。取ります!」と答え、その場で心を決めました。


共通認識を持つ課題だったため、瞬時にアクションプランを立てられる

その日、チームのミーティングで、私はメンバーに経理部長とのやりとりと経理業務を分かってないデザイナーがBill Oneを作るべきではない」という考えもチームに共有しました。幸いにもチームメンバーは共感してくれて、その場で簿記3級の受験に申し込みました。こうしてプロダクトデザイナーの簿記3級取得への道のりが始まりました。


チームで実施したこと

日々デザイン業務で忙しい中、勉強モードに頭を切り替えるのは難しいと感じます。「「せっかくやるならみんなで楽しくやろう!」とチームで団結し、3カ月という期間の中で確実に実行できる、以下のようなアクションプランを立てました。

a. 定量目標を立てる

  • デザインチームのOKRを立て、3カ月以内の取得を目指す。毎月、進捗を振り返る。

b. みんなで取り組む時間を設ける

  • 毎週1時間の勉強会をカレンダーに設定する : まずはみんなで使える時間を確保する

  • 一人で悩まずみんなで悩む : 勉強中に発見した疑問はチームに持ち寄って解決する。お互いに質疑応答を繰り返し、理解を深める

  • 手段がゴールにならないことをみんなで意識する : なぜこの作業が必要か?などの根本をちゃんと理解しながら進めることを忘れない

全員が同じテキストを利用し、進捗を共有しながら手書きメインで学習

c. 多様なコンテンツを利用する

  • テキストの過去問 : ホワイトボードなどの視覚ツールを利用して問題を解くと、その過程もみんなで考えることができる

  • ネット上の模擬テスト : オンラインMTGを利用して数回実施。答え合わせまで行い、分からない状態を作らない

  • YouTubeや簿記アプリ : 重要テーマをしっかり押さえて凡ミスを防ぐ

利用ツール : 共通のテキスト(1冊のみ)、電卓、ネット模擬、YOUTUBE、簿記アプリ、会議室のホワイトボード等


個人で実施したこと

日本語で受けるテストはいまだに苦手です。
他のメンバーより多くの時間を当てることで克服するしかありませんでした。

a. 隙間時間の偉大なる力
毎日、業務を開始するまでの30分を学習の時間に当てました。テキスト1冊を試験までに終わらせる時間としては十分でした。

b. 弱点テーマを把握し、必要な対策を実施
よく間違える問題はスマホアプリをフル活用し、市販の簿記アプリはほぼ全て試しました。


取得してから何がどう変わったか。

  • 仕訳業務の理解が深まったことで、財務管理などといった、いわゆる企業内のお金の流れがしっかり考慮された体験設計が可能になった

  • 体験設計の際に、もらったフィードバックを本質的に理解できるようになり、最適な答えに辿り着くスピードが上がった

  • 経理との会話の際、以前は理解できなかった用語の意味が理解できるようになり、単純にコミュニケーションがとりやすくなった


チームワークがもたらす推進力

一つのゴールに向けてチームで取り組むと、これほど推進力が増すのかと実感した取り組みでした。一人で向き合っていたら取得を諦めたかも知れません。それほど、自分にとって簿記3級の取得は簡単ではないものでした。日々の課題をチーム内でシェアできる状態を作ることで、解決に向けた共通のゴールを瞬時に決め、チームで動き出せたのです。


ユーザー業務の解像度を上げるための取り組みは、これだけでは終わりません

Bill Oneデザインチームでは、経理業務をもっと理解するために、他にも色んな取り組みも実施しています。例えば、

  • 経理とランチをしながら業務の話を聞く(月に1回実施)

  • 業務の一部をジャーニーマップに落とし、チーム全体で認識を揃える

  • 新しくJOINしたデザイナー向けに経理業務の勉強会を実施する

等もあります。こちらの話はまたどこかでシェアしていきます。
体験設計に還元するためのチーム施策はこれからも継続します。みなさんも興味を持ったらぜひフォローしてくださいね!


他では見られないSansanのプロダクトの「裏側」のお話も、以下からぜひチェックしてみてください。


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