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2019年3月20日水曜日、ままごとの「ツアー」を観た

仕事の予定をごめんなさいして蒲田の「HUNCH」へ。劇団「ままごと」のままごとの『ツアー』報告会(演劇付き)をどうしても観たくて。発売日当日にチケットを取っていたのだ。

劇団「ままごと」は2015年三鷹でみた「わが星」で強烈な体験をして、そのあと主催の柴さんが作演出を手がけた2017年「わたしが悲しくないのはあなたが遠いから」を観て以来。いずれも人と人との出会いやすれ違い(なんて生半可な言葉で話せるものではないけど)が胸にグッとくる、、特になんども再演されているわが星は本当に圧倒されて、機会があればまた体験したいと思っていた。

『ツアー』は45分ほどの短い劇で、全国6箇所(横浜、静岡、新潟、小豆島、沖縄、蒲田)を巡回したそうで、今回蒲田では、これまで回ってきた(ツアーしてきた)それぞれの場所の思い出をスライド式で報告してくれるというイベントもついていた。その土地の飲み物がチケット代に含まれていた。

私はお酒が飲めないので、小豆島のお茶をいただく。後味がオリーブっぽいよい香りがして飲みやすい冷たいお茶。報告会が先で、スライドを見ることでちょっとネタばれしちゃうんじゃないの、と心配したけど、実際にそのあと劇を観たら、これは報告会が先でよかった、、となった。この劇が静岡のあの場所で、沖縄のあそこで演じられたんだと思いながら観るのがとても不思議な気持ちになった。

劇は45分の短編とは思えないほどみっちりといろんなことが詰まっていて、「ツアー」という言葉が何重もの意味を持っていた。子どもを失ってしまってたびに出る女性を演じる小山さんの端正さ。端田新菜さんの声は相変わらず素晴らしくて、片言の日本語を話す異国のミュージシャン役が時にははちゃめちゃに面白かったり、こちらで補完してしまう想像力のカケラになったり、単語だからすごく伝わってしまったり。大石さんが演じるカーナビは、物語の脇にいるようでいてしっかり彼の物語を持っていた。

ちょうど人生ってむずいねってある人が言ってて、むずいねって返したけど、その答えみたいなのがこの劇には入っていて、端田さんがセリフを発した時にそうかあ、そうかあって涙が出た。その人に伝えたいなと思って覚えたくて一生懸命聞いたのだけど、正確には覚えられなくて残念。この戯曲の台本も公開されるといいな。

観終わった後に胸がいっぱいで、その場にいられなくなってすぐHUNCHを出た。出た先は「バーボン通り」という名前がついていて、祝日前の小さな立ち飲み屋は仕事帰りのサラリーマンでどの店も賑わっていた。明かりを観ながらフラフラ家に帰った。幸せな気持ちだった。


「人生、ツアー。旅。運、不運、全部、偶然。ご賞味ぃー。」


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