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三浦半島釣り魚図鑑(30) モクズガニ

これは、釣れたというよりは捕まえた、編。

捕まえることのできるカニの中では大きなほうのカニで、特徴はなんといってもハサミの部分などにつくことの多いもふもふ。これが、藻屑のように見えることからモクズガニという名前なんだけれども、実際にはこれは藻ではなく、地毛なのだそう。

茶色のふっさふさは、ミトンのようにも見えることから、英語ではミトンクラブと呼ばれているらしい。ちなみにこのあたりの地元の人は、モクタンガニと呼んでいることもある。

カニの多くはゆでると真っ赤になる。モクズガニも、生の時には真っ黒なのに、茹でれば真っ赤になる。よく見ると、地色は黄色で、赤い細かい斑点が無数にあるので、赤く見える。

ところが、モクズのもふもふ部分の色はゆでても変わらない。茶色のまま。藻ならば、鮮やかな緑になったりしそうなものだけれれど、地毛だからか、ゆでても同じ茶色。

イシガニやガザミとは違って、四番目の脚の先はオールのような形にはなっておらず、他の足と同じ尖ったツメになっている。だからきっと、泳ぐことは少ないのだと思う。磯の浅い海の底を歩いていたり、干潮の時に岩をひっくりかえしたりすると、あわてて逃げようとしているところをさっと押さえて捕まえる。

モクズガニは最大でも15cmくらいとそう大きくはないカニだと思うのだけれど、上海蟹と近縁の種類らしく、昔からよく食べられているカニなんだそう。大きさの割には身がしっかり入っているので、食べる部分もまあまあある。売っているカニに比べれば小さいけれど、他の磯でとれるカニに比べれば大きいし、ちまちま食べれば確かにおいしい。ミトンの部分も固いけれどもがんばって割れば、ちんまりと身が入っている。

うちではもっぱら半割りにして味噌汁か鍋に入れて食べている。いいダシがでておいしい汁になる。特に大根や白菜があう。

生命力のあるカニで、淡水でも海水でも生きていける上に、水がなくてもしばらくは生きていけるそうで、息子はしばらく飼いたいと騒いでいた。自分で世話するならば飼えば、と言って特に反対はしなかったのだけれど、結局毎回飼う前に食べてしまっていた。食欲と飼いたい欲ではどうしても食欲がまさってしまうらしい。

で、次の日も飼うためのモクズガニを捕まえにいくのだけれど、結局食べてしまい、を繰り返し、我が家の味噌汁は毎晩カニづくしとなったとさ。

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