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庭には4羽にわとりがいる エサやり

ニワトリとの暮らしを始めて3年近くになる。記事を書いてはいなかったけれど、トリたちは元気。このシリーズもずいぶん間があいてしまったけれど、今回はニワトリを飼いたい人の参考となればとうちであげているエサについてまとめてみます。

土と微生物

まずは、土。土を食べるの?と半信半疑だったけれど、腐葉土になりかかっているような土にはたくさんの微生物がいて、どうやらこれを土と一緒に食べているよう。微生物とは言っても、よく目を凝らせば見えるような小さな虫のようなダニのようなものから、目に見えないくらい小さなものまでいる。

腐葉土そのものも食べているから、そこにも必要な栄養分があるようだ。腐葉土というのは発酵した葉っぱだと思えば、葉っぱが好きなニワトリが土を食べるのも納得した。いつもあげている発酵飼料をつくるときにも山の腐葉土を混ぜている。

養鶏場のニワトリはコンクリートの上で飼われているらしく、フンなどが病気の原因になるからと掃除して消毒するのが普通らしい。ワクチンも必須。

でも、うちのニワトリは生後3日くらいで土の上を歩かせた。当然土をつつく。まだ卵から持って来た抵抗力を持っているうちに土をあげておくことで、大人になってからも病気にならないという。もちろん、密飼いではうまくいかないだろうけれど。実際、うちのトリたちは飼い始めてから3年近くになる今まで病気にかかったことはない。小屋の床は土のままで、エサの残りやふんが堆積するままになっている。掃除はほぼしておらず、ときどき鶏ふん肥料の収穫がてら土ごとすくって畑にまくくらい。

ミミズ

ニワトリといえば、ミミズ。初めてミミズをあげた日のひよこたちはさすがに動くエサに少しドキッとしていたようだけれど、すぐに慣れて4匹で取り合うようになった。ニワトリが弱ったらまずはミミズをあげるとよいと言われているほど、ニワトリにとっては薬のような好物。でも、弱っているようだからとミミズをあげても食べない時もある。きっと必要なものは自分で選び取るに違いないので、そういう時は弱っている原因が別なのかもしれない。

土をふかふかにしてくれるミミズが食べられてしまうので、以前に比べてうちの土は固くなってしまった。これはニワトリを飼いはじめて残念なことのひとつ。ただし、土の栄養素は鶏ふんで補われているからなのか、作物の出来はむしろよくなった。

小さいものならカエルやヘビも食べてしまうこともあるけれど、ひよこのうちは食べられてしまうので要注意。

夏の間は虫がたくさんいるので、ニワトリにはうれしい季節。不快に思われる方もいるかもしれないけれど、一番好きだと思われるのは、コンポストに湧いてくるうじ虫だ。ミズアブの幼虫、ハエやコバエの幼虫が特に好きで、貴重なタンパク源。成虫は動きが早くて食べるのは難しそうだけど、ときどきつつこうとはしている。

モンシロチョウやアゲハの幼虫である青虫も食べるのだけれど、大好き、という訳ではなさそうで、なんとなくイヤイヤ食べているような感じ。

そして、毛虫は食べない。ちゃんと毒があることをわかっているのだろうかと思ったけれど、毒がないものでも警戒しているのか食べようとしない。

他に、カナブンやコガネムシは好きだけれど、テントウムシやカメムシは臭いからか食べない。とはいえ不思議なことにニワトリを飼い始めてから野菜につくカメムシはほとんどいなくなった。多分卵や幼虫のうちに食べてしまうか、カメムシが嫌いな環境になっているのだろうか、謎。

クモは食べる。ゴキブリは好き。ただし、家の中などで殺虫剤を使って弱ったり死んでいる可能性があるので、うちでは殺虫剤を使うのはやめた。

穀類

普段から一番よく与えているのは米ぬか。ほぼ主食のような感じで毎日あげている。栄養価があるからか、特に冬の間はよく食べる。はじき米も毎日あげている。白米よりも玄米の方を好むよう。

麦も大好きで、以前は畑で少し麦を育てていたのだけれど、ニワトリに食べ尽くされてなくなってしまった。ほかに、雑草としてその辺に生えていたイヌムギやコバンソウなどイネ科の実も大好き。

おから

夏はミミズや虫などのタンパク源も豊富だけれど、それほどたくさんとれる訳ではなく、卵を産むようになればさらにタンパク質が必要ということで、おからも与えている。おからは豆腐屋さんによってはタダでくれるところもあるかもしれないけれど、近所の豆腐屋さんでは大口だと少し安く販売してくれるので、それを購入している。このおからをカサ増しのためもあって発酵飼料にしている。

発酵えさを与えることで、ニワトリは健康になり、少なめのエサでも栄養価が高くなるということだ。作り方は、おからとぬか、そして山の腐葉土を少し混ぜてフタ付きのバケツにぎゅうぎゅうに詰めておく。嫌気性発酵なので、みそのような感じ。どちらかというと生のおからのほうが好きなようだけれど、発酵させれば長持ちするので、これは欠かせない。

草、野菜

トリは草が大好きで、当初の思惑通り庭の草は少なくなった。特に草の少ない冬の時期は毎日ニワトリが足でひっかきくちばしでつつくので、ほとんど草が生えてこない。雨など降るとぬかるみがひどい。そして、大事な園芸植物や野菜も食べられてしまうので、結局私が草をとってきて与えることも多く、なんだか思惑とは違うほうにいってしまっている。でも結局ニワトリかわいさに今日もトリのために草をとっている(笑)

卵の黄身の黄色は、草の成分でつくられているといい、実際に春から秋にかけての草が豊富な時期の卵の黄身は濃い黄色だけれど、冬はその色が薄くなってきてしまう。ただし、買ってきた卵の濃いオレンジがかった黄色はコーンやパプリカなどの黄色い餌をあげて色をつけているものなので、自然の卵の黄身はいわゆるやまぶき色。草が好きなトリの卵は黄色が濃くて、そうでもないトリの卵の色は薄かったりもする。買った平飼い卵の中には極端に色が薄いものを見かけるけれど、もしかするとそれは例え平飼いされていたとしても、生の草不足なのかもしれないと密かに思っている。

草の中でも好き嫌いがある。私があげた中で好きな草は、
1位 トキワツユクサ
白い花の咲くツユクサで、みずみずしいのがいいのか、これが大好き。水にさしておけば数日もつので、ストックしておくのにもいい。ちなみに、青い花を咲かせる普通のツユクサは食べるけれどそこまで好きではないみたい。

2位 クローバー
私はクローバーが好きで、以前は近くの空き地からもらってきたひと枝を植えたのが庭一面に広がっていたのだけれど、にわとりが来てからはどんどん見かけなくなり、どうやら全滅したもよう。

3位 セリ 
セリも以前はたくさん自生していたけれど、トリに隅の隅までつつかれて全滅してしまった。

4位 オヒシバ、他イネ科のいろいろ
基本的には、細い葉っぱのイネ科の新芽は大好きで、必死に食べている。オヒシバは以前はしつこい雑草で、抜くのにてこずっていたけれど、今はほとんど見かけない。

5位 ハルノノゲシ
切り口から白い乳液が出て、いかにも苦そうだけれど、にわとりは好き。

ほかに、ヤエムグラ、シソ、ミツバなども食べるが、意外なことに、うちのトリたち、ハコベはあまり食べない。ドクダミやクズも好きだと聞いていたけれど、ほとんど食べていないようだ。トリによる好みの違いがあると思うし、好きな草から食べるだろうから、残ってしまう草もあるということか。園芸植物も、毒のものが多いのか、意外と食べられることはない。(畑の野菜は別)

植物のライフサイクルでいうと、新芽はやわらかいのか好きでよく食べる。もちろん植物の種類によるが、花は食べないことが多い。種は基本的に好きだ。くっつき虫と呼んでいる、洋服などにくっついた種はニワトリの顔の前に出すと、つんつんついばんで食べてくれる。

野菜では、水菜、小松菜、ブロッコリー、キャベツなど、葉ものはたいてい食べられてしまう。野菜の廃棄する部分はみなえさになるけれど、じゃがいもの芽は毒だとわかるのか食べないし、根菜もあまり好きではないみたい。とうもろこしは大好きで、食べ終わった後の芯に残った胚芽の部分を必死につつく。

魚のアラ

以前は生臭いのでゴミ捨ての曜日を見て買っていた魚も、トリが来てからはぜんぶあげてしまう。内臓は卵が臭くなるともいうし、念のため茹でてから。だしパックは中身を出してあげる。お蕎麦屋さんからいただいた出汁がらは最高のエサだと思う。

骨は小さくカットしてあげる。カニの殻も。
ただ、やはり魚をあげると鶏小屋が臭くなる。ふんは食べたものでできていることがよくわかる。アラをやりすぎると卵の味にも影響するとも言うのでほどほどに。

貝殻

たまごの殻を毎日作らなければいけないので、カルシウム分が必要で、売っているものだと牡蠣殻などがあるけれど、サザエやアサリを食べた後の殻は砕いてやればどんどん食べる。

卵の殻をあげるという人もいるけれど、卵が食べられるものだと知ってしまうと、自分が産んだ卵を自分で食べる食卵しょくらんにつながりそうなので、極力やらないようにしている。

小石や砂

トリは歯がないので、砂嚢に砂や小石を貯めて、そこで食べ物をすりつぶして食べるといい、小石を食べることが欠かせない。庭の土の中から適当に石を探すらしいけれど、時々そのへんに砂などをまいておく。というか、あえて掃除をしない。小石はしばらくするとすり減ってなくなってしまうらしいので、補充が必要。

飼料

市販の配合飼料はほとんどやらないのだけれど、出かける時にはこれだけですむので、非常用に飼料を用意してある。飼料をたくさん小屋の中に置いて、水だけなくならないようにしてあげれば、数日は家をあけられる。


ニワトリとエサのことを考えていると、ニワトリ小屋は大きなコンポストみたいなものだと思えてくる。微生物に食べさせるコンポストに比べて、体の大きなトリが食べるので、その分早く分解されるというイメージ。

結局、食べたものが生き物をつくり、生き物が排泄したものが植物をつくって世界はできているということだ。コンポストの循環がニワトリ小屋であり、この世界も、私たちも循環の中にいるということが実感としてわかるのが、ニワトリを飼うということに違いない。



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