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 解体工事。
 揺れる。ノートパソコンの画面がハタハタと動く。ペンを持って文字を書いているとグラッときて、ペンを止める。一瞬、船酔いのような感覚を覚える。絵を描く。ペンを止める間もなく、線が曲がる。仕事にならないので、解体業者に連絡をしたが改善されなかった。
 解体業者は近隣住民への影響を最小限にするように作業をしているはずだ。しかし、大規模建築物であるが故に、これが限界なのだ。大規模建築物でなければ、解体期間も短いし、工事の際に発生する振動・騒音はそれほどではないだろう。住宅地に大規模建設をすること自体、無茶な話なのだ。

 騒音と揺れのなか、頭に浮かぶ単語。
 スクラップ アンド ビルド。
 造っては壊す。壊しては造る。そして、また壊す。
 膨大なコンクリートの残骸。
 割り切れぬ。
 明和地所は持続可能な社会を実現するのではなかったのか。

以下、明和地所のホームページから引用(太字)。
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      明和地所グループが目指すサステナビリティ
サステナビリティ基本方針
私たち明和地所グループは、企業理念の根幹である「信頼」「共創」「共感」に基づき、お客さま、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話と協働を通じて、自らの成長とともに、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
1 暮らしを豊かにする住まいやサービスの提供により、社会の持続的発展に貢献します。
2 社会や地域の活性化・環境保全を目的とした取り組みを継続します。
3 コーポレートガバナンス体制の強化やリスク管理を重視し、信頼される企業を目指します。
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 この建築業界、特にマンション問題は深刻だ。老朽化問題。空き部屋問題。人口は減っていく。車を使う人も減少している。機械式駐車場の年間整備費用の負担は増加していく。諸問題は10年後には大変な社会問題となっているだろうと予測されている。現に、神戸では空き部屋問題が深刻になっている。
 それでも建設を続ける。
 一方で、破壊は続く。

 ああ、社会の一部が破壊されていく。
                             (22.9.15)



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