#136 明和地所はなぜ建設を断念したのか? ⑧ 地盤沈下問題
周辺が同じような高層ビルであれば、周辺も基礎もしっかりとしているだろうから地盤沈下は起きまい。しかし、明和地所が高層マンションを建設しようと計画した場所は住宅地なのだ。一般住宅の基礎は一般住宅適応のものだ。それほど深くはない。隣接地に高層マンションを建設すれば、将来、地盤沈下を起こす恐れがある。
明和地所の住民説明会で、地盤沈下に対する質問が出た。担当者は「その際は誠意をもって対応致します」と回答した。
会場内は5秒間くらいの沈黙に包まれた。
説明会参加者の頭のなかには、この数秒間にいろいろな思いが生じた。
◆いま現在の説明会において誠意をもって対応しているとは言い難い企業が、将来「誠意をもって対応する」と言う。誰も信じるはずがない。
◆地盤沈下が生じた際、明和地所に苦情を伝えても、因果関係が明白ではないということで却下されるだろう。
◆地盤沈下の原因・因果関係を立証するのは難しいことだ。
◆多くのケースで、泣き寝入りすることになっている。
◆司法に訴えるしかなく、多額の費用が掛かるし、裁判に係る時間とエネルギーは膨大となる。判決が出るまで時間も掛かるから、そこまでやる人はあまりいないだろう。
◆上記のことを明和地所は想定しているだろう。
◆「その際」というが、それは、どの時点のことやら。裁判所の判決で明和地所が敗訴する時点のことではないのか。それは誠意と矛盾する。
◆「誠意をもって対応する」と言うが、補償金のことか? 補償金を支払われても傾いてしまった家を直すことはできない。カネで解決できることではない。
◆地盤沈下が起こるとしたら数十年後だろう。そのとき明和地所は存在していない可能性もある。どうするの?
◆マンション管理会社が撤退する事例が多くなっている。将来のトラブルに関しては対応できないだろう。
様々な疑問が次々と出てきた。それらの疑問に明和地所は対応することができなくなってきたのだろうと住民・市民は受け止めている。
(24.4.22)
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