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デス・オア・グローリー:翡翠の髪留 #2

前回までのあらすじ→読んでね

※実はレポート用に作ったログがいっぺん破損してまして、正確なイベントの順番はちょっと前後してるかもしれません。大まかな流れはあってるハズなので、矛盾は目をつむってね。

◆ウィルダネスパート~廃屋

「自然の通り雨ではないな。幽世の悪意が混じっておるわ」
 オーリンは眉を潜めつつ、ずぶ濡れの髭から雨水を搾り取った。
 目の前には風雨を避けるのに都合の良さそうな廃屋があるが……
「雨ざらしで一晩過ごすよりは、罠に飛び込む方がマシってか?」
 ディーグリは、ぼたぼたと雫を垂らしながら、得物の斧を握りしめた。

 次のイベントで、大雨を避けるため怪しい廃屋に逃げ込むことに。
 罠イベントで赤ジェムをもりもり溜め込んだ後、怪しい鍵付き扉を発見。
 慌てて買ったばかりで塗ってもいない扉ミニチュアを引っ張り出します。

「金の匂いがする」ディーグリが呟くと、
「開けてみるか」とトマスが一歩、前に出る。
「あら、トマスは鍵開けもできるの? こんど私にも教えてよ」
「まぁ、見てなって」

解錠判定はD4を振って出目2のみ成功。
イベント固有のアクション可能回数から、何回かは挑戦できますが……

すぐにパキッ、と軽薄な音が響き、トマスが振り返る。
「すまん。壊した」
「だめじゃん! できてないじゃん!」
「できるなんて言ってない……見てな、って言っただけだ」
「へっ、お前が骸骨共にバラバラにされる時も、じっくり見といてやるよ」

 解錠判定でも一回ずつ連続行動ペナルティが適用されるので、四回目以降は-3修正が入って絶対に成功しなくなってしまいます。盗賊がいれば、固有アイテムでペナルティなしのリロールができたりするみたいですね。

 そのすぐ後、ボス級エネミーとの戦闘。

「生者への憎しみしか頭に無い手合じゃな。こういう亡者はタチが悪いぞ」
 オーリンが、奇襲に対応し損ねて手傷を負ったディーグリの傷を癒やす。
 ディーグリは、薄暗い瞳で眼前に現れた敵を睨む。
「関係ねぇ。こっちも、敵ならぶっ殺すだけだ」

 過去2回の戦闘で定石となったフレデリカの攻撃魔法で1ダメージ与える所からスタート……してるんですが、実は攻撃魔法は発動条件に対象がはっきり『見えている』状態が必要で、この時は暗闇で『みえにくい』環境と指定されていたため、実際は使えなかったのかも。
 この辺は、後でしっかり確認する必要がありますね。

つづいて、敵の出現位置にもっとも近いディーグリが突撃を試みますが……

 あぁ~~~~
 判定で出目1を振ったので、敵にターンを奪われてしまいます。
 ターンを取り戻すには、敵の攻撃からの回避判定(D8)で1か2を出す必要がありますが、回避判定自体は出目が高い方が有利なので、ターン奪取は常にダメージを食らうリスクとセットになっている、というバランス。

 幸いにもディーグリが1ダメージ受けただけでターン奪取に成功し……

 再びフレデリカの魔法からのディーグリの攻撃であっさり撃破。ボス級とはいえHP3の敵が1体なら、まだそんなに危ない感じはしないです。

 でも、写真を見返して気づきましたが、近接攻撃なのにD8じゃなくてD10振ってますね……形が似てるからね、仕方ないね。
 他にも、暗い所では照明を持っているキャラ(この場合たいまつを持つトマス)が優先的に狙われたり、判定に修正を受けたりするんですが、この時点ではそれら全部すっぽ抜けてます。
 ま、まぁ、ソロプレイだから誰かに迷惑掛かったりはしないし……

「これでハッキリしたな。行商人を襲ったのは、十中八九コイツらだろう」
 新しいたいまつに火を灯しながら、トマスが言った。
「くたばり損ない共の痕跡を辿れるか、専門家さんよ」
 ディーグリに問われ、聖職者オーリンは、
「態々儂が考えるまでもあるまい」と、窓の外を指差す。
 屋敷のすぐ裏手には夥しい数の掘り返された墓穴が並び、更にその先には薄暗い洞窟の入り口があった。

 いつの間にか雨は止み、夜空は白み始めて、彼方の空に微かな日の光。
(明けの明星が微かに赤らんでる。ああ、こりゃぁ確かに、凶兆だねぇ)
 見上げたフレデリカはしかし、彼女の信条から、その思考を言霊にはしなかった。

◆ダンジョンパート

  いよいよ敵の本拠地ダンジョンパート。基本的な流れはこれまでと一緒ですが、イベントリストのイベント名があからさまに不穏ワード多め。

 洞窟に見えたそこは、おそらく共同墓地の類であると判った。
 たぐい、と表現するのは……元から粗末な内部が更に荒れ果て、最早瘴気さえ漂う不気味な空間と化していたからだ。

 ちなみにこの時点で、有利イベントのトリガーと思われる青ジェムはジェム山に一つも残っておりません。
 初っ端の罠を先頭トマスが華麗に回避した後、強制イベントで今回の黒幕、ウォーロードが登場します。

「ヨコセ……ヨコセ……」
 掠れる囁き声が、洞窟の壁に反響する。オーリンが、叫んだ。
「レイスじゃ! 触れられるでない、魂を削ぎ取られるぞ!」

 ウォーロード役はリーパー・ミニチュアのケルンレイス
 オバケのミニチュア大好きなので気に入ってます。

「フンヌ!」
 出会い頭に振り下ろされた幽鬼の剣をトマスは受け止め、
「フンヌ!」
 すかさず斧で反撃する。
「アホか! 触られるなっちゅうたじゃろが!」
「触られたんじゃないぜ。こっちから弾いて、ぶっ叩いたんだ」

 互いに1ダメージ与えただけで、ボスはあっさりと撤退。

 ……したものの、このあと罠と戦闘イベントのオンパレードで大苦戦。
 まぁ、赤ジェムしか山になかったハズだからね、仕方ないね……

 先頭のトマスが集中的に狙われたあとでようやく回ってきた味方ターン、治癒の魔法を試みたオーリンが判定失敗どころか再度敵にターン奪取を与えてしまい、一気にトマスが窮地に陥ります。

 敵側のアタックスコアは、『敵毎の固定APー(対象回避判定D8+対象DP)』で決定され、その敵側アタックスコアが攻撃対象となる味方の残HPを上回ればダメージ、なのですが、これが曲者で。
 つまりダメージを受ければ受けるほど、敵の攻撃は通りやすくなり、ダメージを受けた上で敵ターンが継続する可能性が上がるんですね。

 デス・オア・グローリーという名前を体現したかの様な、一瞬の油断が死を招くゲームバランスです。
 序盤に感じたとおり、敵にターンを与えてはならないゲームだった……
 後々ルールブックを確認すると、リスクを低減する手段も色々ある様なんですが、このときはそれにも気づかず、トマスのHPが残1まで減り、更に罠によって五体のスケルトンに囲まれる事態に。

「おうバケツ頭。これはピンチじゃなけりゃ何なんだ?」
 トマスの背中を守りながらディーグリが煽るが、血まみれのトマスに答える余裕はない。隊列の先頭で、無数の骸骨を相手に攻撃を引き付けている為だ。
「いかんな、退路が絶たれた」
 オーリンが焦りを見せるが、フレデリカは平静だ。
「焦ったら負けだよ。特に、勝負所ではね」
「それが、今じゃと?」
「言ったでしょ。まじない屋の助言は……ってさ」

 ヤベェ! と思ったものの、冒険者をピンチから救ったのはリロール権
 フレデリカとオーリンは最初に決められる所持品の中で幸運のお守りをチョイスしていましたが、その効果はダイス判定をやりなおせるリロール権を一回分得るというもの。
 加えて、タウンパートで占い師に受けた祈祷(有料)のおかげで、パーティ全員がリロール権を1回ずつ追加で得ていたのです。

 このリロール権をここぞとばかりに使いまくり、敵にターンを与えないまま怒涛の反撃で敵を壊滅させます。
 最後の一体、ウィザード級エネミーだけは近接攻撃が届かないバックゾーンに立っていますが……

「まぁ、見てろ。俺は、ちゃんと『できる』って言っとくぜ」
 ディーグリは腰から下げた小槌を、暗闇に見え隠れする影に向かって投げた。

 ドワーフ戦士ディーグリのミニチュアは、両手斧だけでなく腰に小さな金槌を装備しており、これは投げて攻撃する『射撃武器』であると、キャラメイクの時に予め設定しておきました。
 射撃武器はD8に加えてD6も命中判定に使用されるため、つまり敵にターンを奪われる可能性が高くなりますが……今使わずしていつ使う。

 ぐしゃりと、何かが砕け散る音。それから、あたりは静かになる。
「お見事」
 トマスが唸るような声で言うと、ディーグリは肩をすくめた。

 勝利はしたものの回復する間も余りないまま、ウォーロードがウィザードを伴って再来し、最終決戦へ。
 入門クエストっていうけど、割とハードだ……

「しつけぇ野郎だ……ウンザリしてきたぜ、これじゃ割に合わねぇ」
「行商人じゃ逃げられないわけよね」
「こいつを倒さん限り、儂らも生きて帰れんのじゃろうなぁ」
「おお、分かり易くて良いじゃないか」

 ここまで結構痛い目を見てきたので、もうコツはだいたい掴んでいます。
 つまり、リロール権を使い果たす勢いで出目1&2を避け、なるべくターンを渡さず倒し切るのが最善と見た……!

 うぉぉぉぉぉぉぉー(突撃)

 実は最初にフレデリカが魔法をぶっぱなしてますが、初期HP5のウォーロードにはあっさり弾かれてたり。
 残HPが高いほど防御時に有利になるルールなので、まずは高いアタックスコアを出せる可能性のある、戦士の近接攻撃で削らねばなりません。

 そこは残ったリロール権を惜しまず吐き出しながら、怒涛の連携攻撃。連続行動ペナルティを避けるため、ディーグリ→トマス→フレデリカと攻撃を繋いでいきます。
 なお、聖職者のオーリンは突撃できない≒能動的には近接戦できない悲しみ。

 一度も行動させずに倒しきりました。あっさりしてる様にも思えるけど、一回でもターンを渡せば誰かがコロっと死んでもおかしくない状況でして。

 フレデリカの放った炎の魔弾で、幽鬼達は塵の様に消え去った。
「弔われそこなった魂が幽鬼となって、仲間に増やそうとしたとか、そんな所じゃろう」
 と、オーリンは後に語る。
 冒険者達は死者たちを手短にながら供養すると、足早に来た道を引き返した。

◆エピローグ

「結局、ヒスイの髪留めとやらは見つからなかったな。支度金もスられたこと踏まえりゃ、大した儲けにならねえ」
 ようやく一息ついたディーグリが、不機嫌そうに呟く。髪留めは草むらにでも転げ落ちたか、誰か心無いものが持ち去ったのか……あるいは、冒険の中でなにか、見落としたものが、あるのか。
「まぁ、これで明日の食い扶持くらいにはなるじゃろ」
 オーリンはそういうと、一人黙々と主神に対して祈りを捧げ始めてしまう。
「えー。四人で折半したら……せいぜい今夜の宿代じゃない?」
 フレデリカは、やはり大したことはないかのように、へらりと笑った。
 トマスは、ムウと考え込んでから一言、
「そうか……じゃあ、次はどうする?」
 短い沈黙の中、冒険者達は互いの顔を見合わせた。

 報酬の金貨30を受け取ってレベルアップ処理を行い、入門クエスト『ヒスイの髪留め』は完了です。

 ゲーム慣れしなくてルールを見落とした部分は多々あれど、バックボーンを想像したミニチュアが実際にゲームのなかで動くのはやっぱり楽しいですね。
 今回はたまたまアンデッドのミニチュアを敵にしたからこんなストーリーを想像したけど、敵が違えば物語の印象も全然違うはずだし。
 ゲームの結果でミニチュアの印象が変わったりもして、そういう意味でデス・オア・グローリーはソロプレイ用でもしっかりミニチュアゲームだな~という感想です。

 トマスは前に出すぎてよく痛い目に合う。
 オーリンは肝心な時に限って判定ミスっちゃう。
 ひたすら安定感があるのはディーグリ。
 フレデリカの魔法攻撃は超便利で頼れる先生ポジション。

 とかとか。
 今回は運良くみんな無事に帰ってきましたが、一つの事故で一気にピンチになるピーキーさもあるルールなので、何回か遊んでも緊張感が残りそう。
 近いうちに新しいミニチュア塗って、違うパーティでもまた遊んでみたいなーと、ゲーム後はそんな気持ちになりました。

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