日本演芸若手研精会OB連落語会~入船亭小辰真打昇進前祝い~

日本演芸若手研精会OB連落語会
~入船亭小辰真打昇進前祝い~

柳家小もん 湯屋番
柳家小はぜ 三人旅(びっこ馬)
古今亭志ん雀 青菜
〜仲入り
春風亭一花 祇園祭
春風亭柳枝 駆込寺
入船亭小辰 藁人形

日本橋社会教育会館
20220805

雲助師匠週間の前の。
残念ながら開口一番には間に合わず、「湯屋番」の途中から。

研精会のことを知ったのは終了の案内(あれ…?笑)を見た頃で、会にお邪魔するのはこれが初めて。もとは二ツ目さんの勉強会だったそうだけど、OB会とあって、もう真打になった方もちらほらと。どなたも素晴らしい若手の方ばかり。

小はぜさんの「びっこ馬」、わたし本当に大好きですわ。そらもう、思わず口調変わるほどですわ。聴くの二回目ですけど、確信しましたわ。

この日は途中までだったんですけど、職人気質っぽい馬子さんの怒りっぽさと、慣れない馬にまごつく江戸っ子三人衆のやりとりがもう楽しくって。な〜んにも起こりゃしないのに、本当に楽しい。ただこの空間にずっと漂っていたくなる。

あとこの日思ったのは、普段江戸っ子に振り回されがちな田舎者と、江戸っ子の立場が逆転してるのもあるのかな?と。
以前、小はぜさんの「百川」を観たときに、こんなにも口調だけで江戸っ子と田舎者の流れている時間の差を感じさせるものかと驚嘆したのですが、この噺は田舎者の勢いがすごくって。「田舎者の逆襲」って感じがする。イイぞ馬子さん!

一花さん、まだ数回しか聞いたことがないのですが、まくらのときの柔らかな声色から、噺に入っていくときにだんだん声が変わっていくの、毎回おおお!ってなっちゃう。どちらも自然体で、かっこいい。そして、噺を聴いていると、一朝師匠の存在をすごく感じる。にっこり。

柳枝師匠の「駆込寺」、噺の流れは大体読めてしまうのに、夫婦の割れ鍋に綴じ蓋感がなんとも楽しい。いかにも落語の夫婦って感じでいいなあ。
門番の前のイチャイチャ(笑)。こういう噺、大好き。

それにしても、お寺の前での夫婦と門番のやりとり、すごく既視感があったんだけど、なんだろう?わたしこの噺聞いたことあったのかなぁ?

小辰さんの「藁人形」、とっても良かった……!
そして、他の方のを聴くたびに、最初に観た雲助師匠版の西念さんがいかに悲壮感に溢れているかを思い知る。煮えたぎる鍋の前に座っている様子もなんだけど、額を割られたときとか、もう。。凄い。

小辰さん版は、全体としてそこまでの悲壮感には包まれていなくて。
西念さんにあまり卑屈さや卑しさを感じさせず、落語として噺をしっかり聴かせてくれた(雲助師匠のはどちらかといえば芝居の風情がある)。
お熊もいかにもな悪女という感じではなく、種明かしするときもあんまり悪びれていない。これはこれで、悪気なく相手を傷つける人っているよねえ…あああ……ってなりました(何)。

甥っ子が訪ねてきたとき、鍋の前から離れるきっかけが「お祝いに蕎麦をご馳走しよう」なの。ああ、西念さん、完全に絶望しているわけじゃないんだなって。なにより、甥っ子のさっぱりさが、とても気持ち良かった。

小辰さんを初めて拝見したとき「二ツ目…????あれ?二ツ目って、なんだっけ??」とその巧さに圧倒されてしまったのですが、ついに真打。
おめでとうございます!昇進祝興行もお邪魔するぞー!

そういえば。柳枝師匠の高座のときに、まくらで小辰さんたちと一緒に行った野球の話をされていたのだけど、半ズボン姿の小辰さんが舞台に乱入して(笑)。乱入もだけど、出番がすぐ次なのにまだ着替えてないのも可笑しくって、笑ってしまった。

皆さんしっかり噺を聴かせてくださる方々で、しかもお祝いのおめでたさもあって、楽しい会だったな。

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