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[感想]映画を倍速で観る人

『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史)を読みました。
人の意見の引用が多すぎて最初読みづらかったけど興味深かったです。

きっかけ

邦キチのこの回です。

邦画キチは毎回ニッチな邦画(有名な作品もある)をプレゼンしている漫画。紹介される作品のとんでもなさと説明の上手さにつられて映画を観たくなります。
それだけでなく漫画としてもめちゃ面白いので大好き。台詞回しが良くて、一話ごとに必ず「言ってみたい!真似してぇ!!」って台詞がある。
この回でも池ちゃんのめちゃくちゃすきな台詞があって…でもネタバレになるので言いません。

池ちゃん:サブカルオタになりたい若者。長くて読みづらいnoteを書いてる。

元々映画を早送りで観る人の存在は知っていて、「なぜそんなことをするんだろう」と疑問に思っていました。同じZ世代ながら理解できない。
私は何も知らない状態で観る面白さが至高で、『君の名は』でネタバレされたことを未だに根に持ってるようなタイプだからです。
そんな疑問を解消してくれるのかな、そう期待し読み始めました。

結論として、気持ちとして理解できる部分はあるけど、やらんなと思いました。

以下、印象に残った倍速で見る理由。

①作品が多すぎる

それは本当にそう。旧エヴァを一巻ずつTSUTAYAから借りていた中学生の時、作品は有限でBSプレミアムが娯楽でした。
だけど今はサブスクで無限に観られる。レンタルショップから借りたばかりの作品が再放送する時の絶望がないかわりに、適当に観ることが増えました。
感覚としてほぼ無料のサブスクより、一話に明確にお金をかけていた時の方が真面目に観るのは当たり前かもしれない。

②時間がない

これに関しては同意します。マジ、時間足りない。無限に欲しい。
ただ時間が足りない→早送りにはつながらない。
早送りして2時間の映画を1時間で観たら本来得られる感動が激減して無駄な1時間過ごしたことにならないか?正直時間が足りないなら観なくてもいいのでは…?
それなら1時間の作品を観ます。
コミュニケーションツールとして作品を利用しているが故の義務感というのもあったけど、無理に観なくてもいいのにと思ってしまう。
こんなに多趣味の時代に誰かと観るものが被ることなんて最初から期待していない。作品の話をしたいなら一緒に映画館に行っちゃう。(期待してない分同じ趣味の人とリアルで出会うとすごく嬉しくなっちゃう)
観るという行為が個人で完結していない、観た後共有することへの比重が大きく、「鑑賞」それ自体への価値が少ないのかな。
お金や時間が文化を楽しむうえで必要なのは理解できるけど、お金や時間がない辛い時に元気をくれるのも文化というところは変わらないで欲しい。

③「心を豊かにするために観ていない」

「私が受けてきたような感動を届けたい」と言いながらエンタメ就活をしていた身からすると一番心に残っています。
心を豊かにしたいと思って作品作りに関わりたかったけど、それって期待されていないのか?という。
わかりやすい癒しや面白さも好きだけど、この2時間で人生の色が増えたような鑑賞体験がある。だから倍速で観ない方が遥かにタイパが良いと思ってる。
でもそう思えるのは「その瞬間があるかないか」って感じなのかな。

おわりに

途中から観る・他人に干渉しない・監督を意識しないあたりはZ世代として「あるある」ってなった。
面白い巻しか漫画を買わない家庭だったので全巻揃えて読めたのは自分のお金が手に入ってから。監督で観たのは黒澤明監督と三谷幸喜監督ぐらい。共感するところはある。

けど
倍速はやらね~~~~~~!!

ps
「ネットで素人の書く感想を読めるのもあり、評論を読まなくなった」というのはまさに素人感想を書いてる私に刺さりました。
正直このnoteもそれじゃん!!!

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