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守護霊が見える同級生の話

こんにちは。

実家が全焼したサノと申します。

僕が中学生の頃、
守護霊が見える同級生がいました。

彼は元々おとなしい性格で、
友人もそれほど多い
タイプではありませんでしたが、
守護霊が見えるという
カミングアウトをしてから、
一躍脚光を浴びるようになりました。

クラスの女子たちは、
みんな彼の守護霊診断に夢中でした。

僕はそれをただ、
ひがみながら遠くで見ていました。

するとある時、ある法則に気づきました。

彼はクラスの美女には、

「立派な戦国武将が憑いているよ!」

「こんな強力な守護霊、久しぶりに見た!」

などと言うのですが、それ以外の人には

「亡くなったひいおじいちゃん。」

「亡くなったひいおばあちゃん。」

としか言わないのです。

ひがんでいる僕は、
彼が美女にだけ都合の良いことを
言っているのではないかと疑い始めました。

しかし、守護霊の見えない僕には、
それを証明する術がないですし、
ひょっとしたら、
美女にはスゴい守護霊が
憑きやすいのかもしれませんし、
そもそもみんなが楽しんでいる
守護霊診断に水を差すことに
何の意味があるのだと考え、
結局僕は何も言わず、
遠くでひがみ続けていました。

そんなある日、彼と教室で
2人きりになる時間がありました。

いつもは守護霊診断で大人気だったので
話しかけることすらできなかったのですが、
その日は思い切って話しかけてみました。

「A君って、守護霊が見えるん?」

僕がそう尋ねると、彼は

「うん、見えるよ。」

と当たり前のように答えました。

「じゃあ、僕の霊も見えるってこと?」

「うん。」

「……僕の守護霊も、見てほしい。」

僕が彼にひがんでいたのは、
クラスの女子から人気だったからではなく、
彼のその特別な才能を
羨んでいたのかも知れません。

本当は僕も守護霊を見てほしかったのです。

すると彼は

「うん、いいよ。」

と僕のお願いを快く受け入れてくれて、
僕の肩あたりをじーっと見つめ始めました。

教室には2人しかいないこともあり、
独特の緊張感がありました。

しばらくすると、
彼はバツが悪そうに、

「ちょっと言いにくいな・・・。」

と言いました。

一瞬、彼がなぜそんなことを言うのか
理解できませんでしたが、
しかし、僕はすぐに気づきました。

僕は父親を中学生の頃に亡くしていたのです。

だから、その父が
守護霊として憑いているため、
彼は言いにくいと思ったのでしょう。

全てを察した僕は、
少し父を思い出し、涙ぐみながら、

「いいよ、気を使わないで。
全部教えてほしい。」

と彼の言葉を促しました。

すると彼は、気まずそうに話し始めました。

「サノ君の守護霊やけど、

……ウナギやったわ。」

僕は頭が真っ白になりました。
守護霊がウナギのやつなんて
聞いたことが無かったからです。

最初はふざけているのかと思い、
僕も笑っていましたが、彼の目は本気でした。

見間違いじゃないかとか、
ウナギが守護霊になる前例は
これまでにあったのかとか、
色々尋ねましたが、結局、
僕の守護霊がウナギである事実は
変えられませんでした。

僕も守護霊がウナギであることを、
ついに受け入れざるを得なくなりました。

とはいえ、まずなぜウナギが僕のことを
守ろうと思ってくれたのか、
その志望動機が気になりました。

そこで、ウナギは僕のことを
どう思っているのか教えてほしいと、
同級生に尋ねてみました。

すると彼は冷静に、

「ウナギやから喋らんし、
何言ってるかわからん。」

と答えました。

僕は、絶望しました。
なんか色々と悲しくなって、
涙ぐむ僕を見て、同級生は

「でも、二匹憑いてるから、多分大丈夫。」

と、謎のフォローを入れてくれました。

彼が教室を出たあと、
1人ぼっちの教室で、泣きました。


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■実家が全焼したことのある新橋のサラリーマンです。■毎日、切なかった出来事を投稿しています。 ■大学院で経営学を学びましたが、経営していたBARは潰れました。■親が始めたカフェの食べログの評価は2.9です。

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コメント (3)
相変わらす文章の展開が面白すぎます。読むたびに訪れる敗北感。僕には守護霊さまはいないようです。
面白かったですw
私が以前住んでいたミクロネシア連邦という太平洋の島国ではうなぎが神様でしたよ!
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