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ぺんぎん通信 #2


7月12日 祇園祭危機一髪

祇園祭の時期がやってきました。
大学は京都でしたが、毎年この時期は深夜まで続く試験の準備で生ける屍。学生のころにお祭りを楽しんだことは数えるほどしかありません。

一度だけ、祇園祭の行列に参加したことがあります。花笠巡航だったと思いますが、大学生協で募集がかかっていて、書を捨てて祭りに繰り出すことにしました。

八坂神社で装束に着替え、神輿を担いで四条通を歩き始めました。四条通は夏の京都をものともせずお祭りを見に来た観光客がひしめき合っています。まるでスターにでもなったみたいだなと思いながら花見小路のあたりに差し掛かった頃、事件がおきました。

解けちゃったんですね、帯が。気を抜くとパンツ丸出しになってしまいそうなのに、神輿で両手が塞がっています。「京大生、わいせつ物陳列」なんて見出しが頭をよぎりました。内股でもじもじ一分ぐらいーーもっと長かったかもしれませんがーー歩いた後にやっと行列が止まり、私は事なきを得ました。わいせつ物陳列は故意犯だから……とも思いました。

あのとき捕まらずに弁護士になれて本当によかったです。お見苦しいものをお見せせずに済んでよかったとも思っています。

7月13日 ぴかぴかのバッジ

拘置所の受付で弁護士バッジを落としてしまい、少しヒヤッとしました。

弁護士バッジは金メダルと同じで、銀に金メッキがされているそうです。そのため使い込むと銀色になっていくらしいです。古株感を出すため、古銭入れに入れてエイジングする人もいると聞いたことがあります。

バッジはあっても役に立ちませんが、ないと時々困ります。失くせば官報で晒し者にされます。私のことですので、ジャケットにつけると外すのを忘れ、アクセサリーケースに入れれば着けるのを忘れるでしょう。いずれどこかで落としてくるに決まっています。最初のうちは喜んで何度かつけてみたりもしましたが、私のはすぐにペンケースの眠り姫になりました。

喜ぶべきか悲しむべきか、私のバッジはいつになっても金ピカです。バッジではなく行いや仕事ぶりで品格を見せろということなのでしょう。

7月15日 われよりえらく見ゆる日よ

同じ年に司法試験に受かり、奈良で一緒に勉強した同期たちと、梅田で一年ぶりに集まって話をしました。

彼らうちの何人かとは、今でもLINEで日ごろから仕事の相談しあっています。自分の考えに自信がないとき、あまり詳しくない分野の相談を受けたときなど、よく頼りにしています。実のところ、私がしばしば複雑な問題の凝った疑問を投げて困らせていますので、助けてもらっているという方が正しいかもしれません。持つべきものは同期です。

私たちが弁護士になってそれなりの年数が経ち、自分の道をみつけつつあるようです。みんなそれぞれ頑張っていてすごいな、えらいなと頭が下がるのとともに、妻に花でも買って帰ろうかと思いました。

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