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弁護士の選び方と着眼点

0 はじめに

 弁護士選びの際に重視されることは、人それぞれ異なるでしょう。
 みなさまイメージする「いい弁護士」と、私たち弁護士の創造する「いい弁護士」は、必ずしも一致はしません。あなたが弁護士を探す際に何を重視するかについては、いくつか気を付けなければいけない点がありますよということを、ここではご説明いたします。

1 弁護士の人数や事務所の歴史

 大きな事務所や歴史のある事務所だったとしても、その全ての弁護士を信用できるわけではありません。大ベテランがあなたを担当するとは限りませんし、仕事の大部分を若手に丸投げしていることもよくあります。

 弁護士は基本的に一人で事件を担当します。事務所の弁護士が多いからといってその全員があなたの事件を取り扱ってくれることはありません。逆に、弁護士の数が少ないといって仕事の質が下がるわけでもありません。

2 料金

 料金は、高いのにも安いのにも理由があります。忘れてはいけないのは、弁護士の仕事は綺麗ごとでも、慈善事業でもないことです。

 最近では、着手金無料など新しい料金体系を謳う弁護士も増えてきています。そういう弁護士の中にも当然よい弁護士はたくさんいますが、ある部分の料金を減らすのであれば代わりにどこで利益を出しているかというのは考えてみる必要があります。
 ブランド物とそうでないものに、値段差ほどの質の差があることは多くありません。高い料金の理由が家賃だということもありえます。それと同じで、高い料金を取る弁護士が必ずいい仕事をしてくれるわけではありませんし、安いからだめということもないのです。

3 専門性のアピール

 専門性があるに越したことはありません。弁護士はある程度この業界のことも分かっていますから、「この分野ならあの先生」となることもあります。ですが、それを判断するのが一番難しいというのが実際です。

 「〇〇専門」「○○に強い弁護士」と言うだけなら誰にでもできます。なんの資格もありません。お医者さんの専門医にあたる制度は、弁護士にはないのです。たとえば、私は特許法の専門的な知識はありませんことが、「特許に強い弁護士」と名乗ることはできてしまいます。

 また、弁護士を探す際はまず法律のことを調べられるでしょう。分野にもよりますが、ホームページなどで記事を書いている弁護士が、必ずしもその他の弁護士より詳しいということはありません。離婚や相続、交通事故などの多くの分野については、どの弁護士にも専門性があって当然です。コラム程度のことは弁護士ならわかっています。それに、一見ある分野(交通事故、不動産……)の事件のようでも、実際のところその分野の専門的な知識はあまり関係しないということがよくあります。たいていの場合、「〇〇専門の弁護士に頼んだ方がいいのではないか」と心配する必要はありません

4 まとめ

 人と人との間に相性があるように、弁護士と依頼者にも相性があります。ここまで弁護士を探す際に注目されることが多いポイントを検討見てきましたが、いずれもこれが絶対という基準ではありません。

 月並みな結論ではありますが、最終的にはあなたにとってその弁護士が信用できる人か、この人が言うことなら仕方ないと思えるかどうかが大事です。話し方が気に入ったとか、丁寧に説明してくれたとか、質問にすぐに答えてくれるとかでもいいのです。
 法律問題というのは時に長い戦いになります。あなたが信頼できる弁護士を見つけ、少しでも安心して過ごすことができるように願っております。

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