「掌編小説」金魚鉢は知っている#シロクマ文芸部
金魚鉢を床に叩きつける。
ガチャンと言う音を立てて粉々に砕け散った様子を見て作業療法士のYは言う。
「はい、上手に出来ましたね。じゃあ、もう一度」
口を半開きにだらしなく開けて、その右端からよだれを光らせている敏子さんにYはまた金魚鉢を渡す。
「じゃあ今度はあの壁に思いきり叩きつけてみて!!」
ガチャンッ!!
2050年
日本は多数の劣悪なサプリメントと遺伝子組み換えによる家畜、野菜の摂取で、大勢の犠牲者を出した。20年後の現在、そのおかげで高齢化社会からは脱した