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短編小説

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2023年12月の記事一覧

「短編小説」「最後の日」#「シロクマ文芸部」

「最後の日です」 西暦3023年 4月1日 内閣総理大臣ビートタモリが壇上に上り、緊急記者会見…

sanngo
5か月前
36

「ショート」チックタックなメリークリスマス

チックタックチックタック…… テーブルの上にはローストビーフと今年はよく燒けたと思うチキ…

sanngo
5か月前
43

振り返ると…#「シロクマ文芸部」

振り返ると其処には誰も居なかった。 「気のせいか…」 和也は、さっきから誰かの気配を感じて…

sanngo
5か月前
40

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 2〜

父は優し過ぎるくらい優しい人だった。その優しさが、あんな結果を招いてしまったのかもしれな…

sanngo
6か月前
43

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 1〜

私の友人の実話です。 繊細な部分にも触れますので職業、場面設定、年齢等は変えてあります。…

sanngo
6か月前
45

「短編小説」聖母マリアは死なない 5

「どういうことだ?!」 日頃、丁寧過ぎるほど丁寧な言葉遣いと所作のホテルマンが険しい顔と…

sanngo
6か月前
33

「短編小説」出来そこないの死神 【まくらさん共同マガジン企画】

「因果な商売についちゃったよな…」 ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオは煙草をふかしていた。 デコボコになったむき出しのコンクリートの床が建物の古さと朽ち落ちていく物の哀愁を感じさせる。 此処は旧病棟ビルで、もうすぐ取り壊しが決定している。入院患者達は新しいビルの方へ既に移転していて、後は事務関係の書類を運び出す段になっていた。 だから、煙草を吸っても文句を言う奴はいない。 いや、その前に俺の姿が見えるのは、これから「死の宣告」を行う人間しか居ないだろう。よ

「短編小説」聖母マリアは死なない 4

殺すターゲットは決まった。 でも、大の男を私が殺せるかしら? スクラップブックを両手で抱き…

sanngo
6か月前
40

「短編小説」聖母マリアは死なない 3

「二人じゃ足りない」 保証人を立てなくても借りられる安アパートに帰って実花は考えていた。…

sanngo
6か月前
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「短編小説」聖母マリアは死なない 2

担当の部屋を全て整備し終わると、実花は私服に着替えるためにロッカールームに向かった。 「…

sanngo
6か月前
43

「短編小説」聖母マリアは死なない

横浜の観覧車が見えるホテルで水野 実花は、清掃係をしていた。海側の壁一面が窓の部屋から天…

sanngo
6か月前
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冬の色は何色…#「シロクマ文芸部」

「冬の色ね…」 従姉妹の静香はベッドをリクライニングさせて、病室の窓から外を見ている。 「…

sanngo
6か月前
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十二月の殺人鬼#「シロクマ文芸部」

十二月になると思い出す。 母と手を繋いで急な坂道を上った先に、その家はあった。樹々に囲ま…

sanngo
6か月前
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note殺人事件#「シロクマ文芸部」

十二月、師走とは言っても、まだ人々が慌ただしく街中に繰り出さない初旬の夜、路上に一人の女が倒れていた。 切り裂かれた衣服、研ぎ澄まされたナイフの傷痕が倒れた彼女の背中を縦横無尽に這っていた。 「怨恨の線が濃厚だな」 しわくちゃなトレンチコートを着た橘警部補が部下達に向かって言った。本人はフィリップ・マーロウを気取っているつもりらしいが、日本人然とした体型から、どこから見ても「刑事コロンボ」にしか見えない。 「可哀想に、まだ若いのにな」 「そうですね」 部下の玉見刑事はメ