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算命学余話 #R71「生涯現役を考える」/バックナンバー

 落語家の桂歌丸師匠が亡くなりました。81歳ですから大往生といってよいかと思います。私が子供の頃はまだ『笑点』が確か40分番組で、お笑い番組も今ほど多くはなかったので日曜のこの時間はいつも見ていた記憶があります。大喜利が終わった瞬間にチャンネルを変えて、大相撲の最後の取組みを見るのが常でした。
 その頃の歌丸師匠も他のメンバーもまだ若かったですが、しばらく番組を見ないうちに急に全員年を取ってしまいました。それでも各人の芸風が変わっていなかったので、落語家とはこういうものかと妙に納得しました。お笑い芸人が一時のブレイクの後消えてしまうのとは対照的に、落語家は人気が下火になっても芸風を堅持し続けるのだな、そうするとシニアの聴衆がついてくるのだなと感心しました。近年ではアニメにもなった人気漫画『昭和元禄落語心中』による落語再評価もありました。

 最近わが家の近くに八代目橘屋円蔵師匠の自宅を一般公開した「ひらい円蔵亭」なる施設を発見し、円蔵師匠ゆかりの品々の展示の他、日曜にはアマチュア落語会が開かれていることを知りました。以前は落語にさして興味はなかったのですが、無料ビデオなど拝見させてもらうにつけ、落語は話が長くて時間のかかるものであり、そもそも時間に余裕のある人、つまり生き方に余裕のある人のための娯楽なのだとつくづく思いました。落語の魅力がちょっとはわかってきた自分は、シニア寄りになり、比較的余裕のある時間の過ごし方をしているということなのでしょう。皆さんはどうですか。まだ忙しくて、30分もかかる噺を聴くヒマはありませんか。

 今回の余話は、桂歌丸師匠を哀悼して師匠の命式を読み解いてみます。
 『笑点』を見ていた子供の頃の私の目にも、歌丸師匠は他の大喜利メンバーとは違った雰囲気がありました。クールで知的なキャラで、おバカ担当メンバーを白目で眺めてはくさす役回りでした。それでいて嫌味がなかった。声が高くて硬質なのが良かったですね。歌丸師匠は色事の噺を得意としていたそうですが、あの声だと嫌らしく聞こえない気がします。
 晩年は鼻に吸引チューブを入れたまま高座に上がる姿が番組に取り上げられたりして、こうまでして落語をやるのかと驚きました。死の数日前まで周囲に小言を言っていたそうです。師匠の命式から、ボケることなく生涯現役を貫いた仕事ぶりを探ってみたいと思います。前回の「余話#R70」の二連星とも関連します。

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