寒いのか暑いのか分かりませんね。
あのこの話をします。
あのこ の頬にニキビができると、いつも次の日にはもう潰れていました。
あのこ はいつも臭いし、剥がれ落ちた白と茶色の皮膚が机に散らばっていて気色が悪かったです。
あのこ は目をつぶって首を振りながらアニメの話をしていました。
あのこ は上からバケツで水をかけられてもヘラヘラしていました。
あのこ の家の前を通ったことがありますが、綺麗すぎる家が気味悪く感じるほどにゴミ袋が敷き詰められている部屋が一つだけありました。
あのこ は声だけが綺麗でした。
あのこ はプールの授業の時いちばん長く息を止めて、いちばん長く潜っていました。
あのこ は誰よりもたくさん手を洗っていました。
あのこ は誰よりもシャワーで体を洗っていました。
「全部流れちゃえばいいのにね、骨まで溶けたい」
ねえ あのこ
あのこは
聞いてください
あのこは
なにも悪くないよ
ねえ おまえが流れてしまったら
おまえの中の私も溶けてしまうかな
先に溶かしたのは私なのに
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