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安全、安心ってどうなの?

 「無添加」と書くと、書いていない商品は添加物まみれみたいな印象を受けてしまうのと同様に「100%国産原材料使用」と言う表記もあります。
 これ、他は輸入原料を使っていますよーと言う印象付けをしています。更に露骨なのが「安心・安全な国産」と言うフレーズ。それって国産以外は不安で危険だと言うことですよね?困ったことに、このミスリードは政府関係の公的機関や教育機関でも積極的におこなっています。
 実際はどうでしょうか?日本国内に正規ルートで入ってくる輸入食品は100%検疫を受けています。所轄は厚生労働省。できれば輸入品を入れたくない省庁なので、難癖をつけてかなり厳しく取り締まっています。国内の輸入食品についてはかなり安全と言えます。但し、越境ECや「担ぎ屋」が違法に持ち込んで個人売買している様な物は全くチェックされていないばかりか、出どころも責任も不明です。
 輸入商社的には嫌なデータですが、正規輸入では、こんなに違反事例が検出されています。
 厚生労働省輸入食品違反事例

 では日本から輸出されている食品はと言うと、これもかなり海外で引っかかっています。多くは残留農薬ですが日本食品は安全というイメージは国際的ではありません(一部アジア・中東諸国を除く)。
 あれ?でも国内で違反事例なんて聞いたこと無いぞ?って思いますよね。それはそうです。日本では生産から食卓まで検査する過程が無いので(一部放射線測定を除く)。
 輸入食品は検査しているので、「販売前の事故」事例が多い。国産食品は検査しないので「検出される事故」事例がほぼ無い。
 これが日本食品安全神話の正体です。先日の「国産蜂蜜」でも発生しましたが、国産食品を検査すると食品衛生法違反になってしまう事が多いので、所轄の厚生労働省と農林水産省は進んで自分たちの首を締めるような事はしない様です。
 日本は事実よりも印象やお気持ちを重視する傾向が強いので、結果的に違反が多く「検出されている」輸入食品をスケープゴートにする事で溜飲を下げているのです。

 さて、本題ですがそもそも国産品の定義はなんでしょうか?「そんなもん、日本で作ったもんに決まってんだろう!」と言われます。はい、その通り。でも現代はそんなに簡単じゃないです。海外で孵化した稚魚や生まれた仔牛を日本で育てた場合は?海外で屠殺した後、日本で加工・パック詰めした場合は?
 肉牛の規定はこうなります。
国内における飼養期間が外国における飼養期間(二以上の外国において飼養された場合には、それぞれの国における飼養期間。以下同じ。)より短い家畜を国内でと畜して生産したものを除く。)

 一日でも長く日本で生かしておけば国産牛なんですね。。
 加工品も主要工程が日本であれば国産なので、極限まで海外で作って国産に仕立てる物が多くあります。
 昔から、安い牛を松阪で屠殺すれば高く売れるなんて話はありましたが(今はこの裏技は使いにくくなっています)、同様の抜け道は今も多くあります。

 つまる所、「国産だから、無添加だから安心で安全」と言っている団体や人は正しいことを言っていない「可能性が高い」です。安心で安全な食べ物、それは無添加(と書いてある)や国産(と言う定義)とは全く別の話であり、お気持ちや印象で語るべき内容では無いのです。
 一つ、心に留めおいて頂きたいのですが世界中、どこの国でも生産者は美味しくて安全な物を届けたいと言う思いで生産しています。雨の日も風の日も野良仕事をしているお百姓さんは中国でも、ミャンマーでも、タイでも、どこでも同じなのです。日本人だけが特別と言う考え方はちょっと怖いです。

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