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熾火の追憶

本格的な冬の前、大きな風がやってきてドサッっと杉っぱを落としていく。辺り一面杉の絨毯。雪の前の焚火。この火。パチパチと音を立てて足早に燃えていく。そして夕闇にひっそりと熾火になる瞬間、しゃがんでジッと見入ってしまう。
この時、ふいに何処かに帰りたくなる衝動に駆られていた。いつも。
何処かって…あぁ。生まれる前にいた星の記憶か。
と附に落ちた時、その衝動、哀しさが解けた。
自分の中で心の中で、小さな氷が転がっていたり棘が刺さっていたりするところってあるよね。
それが所在の分からないものならば…。
遠くで眺めて形を確かめたら、少しずつ近づいて撫でてあげると思い出すかもしれない。

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