広瀬和生の「この落語を観た!」Vol.128

4月1日(土)「鈴々舎馬るこ勉強会“まるらくご爆裂ドーン!”#55」(3/28に行なわれた会のアーカイブ配信視聴)



広瀬和生「この落語を観た!」
4月1日(土)の演目はこちら。

鈴々舎馬美馬『権助提灯』
鈴々舎馬るこ『喧嘩の仲裁』 ~仲入り~ ホンキートンク(漫才)
鈴々舎馬るこ『明烏』

『喧嘩の仲裁』は明治40年に書かれた落語集から拾ったネタを基に馬るこが時代設定を現代に置き換えて作り直したもので、90%は馬るこオリジナル。大学に入って3年間コロナ禍でリモート授業のみだった男が4年生になってようやくキャンパスに通えるようになり、何かサークルに入りたいと探していううちに「江戸文化研究会」なるものを見つけ、江戸っ子気取り(口調がまるっきり寅さん)の会長(自称親分)に出会う。この親分、喧嘩の仲裁が大好きで、通りがかりの夫婦喧嘩にまで首を突っ込んで……という、ちょっと『胴乱の幸助』を思い出させる噺。

馬るこの『明烏』では、堅物と思われていた時次郎は、遊び好きの父の血が自分に流れていることを自覚していたため、あえてそういうものを遠ざけていただけだった……という時次郎の豹変ぶりが馬るこの“圧の強い演技”で表現される終盤が見どころ。実際、『明烏』は「性の目覚め」がテーマなのだから、馬るこの演出も理に適っている。

次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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