広瀬和生の「この落語を観た!」Vol.125

3月28日(火)「SWAクリエイティブツアー」@シアタートップス

広瀬和生「この落語を観た!」
3月28日の演目はこちら。

柳家喬太郎『えーっとここは』
春風亭昇太『戦国老人ホーム』
~仲入り~
林家彦いち『夢のまつり』
三遊亭白鳥『彼女は幽霊』

3/27~3/30の4日間6公演のSWAネタおろしの会。今回のブレンドストーリー統一テーマは「ひとつ屋根の下」。

『えーっとここは』は、馴染みのある街に商談で来た部長と部下の二人連れ。帰りがけ、新しく雰囲気のいいカフェが出来ているのを見つけて入ってみるが、「ここ、前は何だったっけ?」という話になり、「オムライス専門店か?」「いや蕎麦屋かも」「不動産屋か?」「本屋だったか」とあれこれ詮索する噺。「オムライスはどうあるべきか」等、世代間ギャップやB級グルメ的こだわりが笑いを呼ぶのは喬太郎の得意とするところ。

『戦国老人ホーム』は、とある老人ホームのリクリエーション室にある4K対応高画質大画面テレビのチャンネル件を巡る抗争を描く噺。吉川、毛利、小早川、武田、今川、北条等々、戦国武将になぞらえた老人たちの争いを生き生きと描いて爆笑を呼ぶ。

『夢のまつり』は、いつも見る「四十七士の討ち入りの夢」が必ずこれからというところで終わるので「今日こそは続きを見よう」と決めた男の噺。続きを見始めたものの妙な邪魔が入り、また寝なおして……という展開からのヒネリの効いたオチ。「夢の世界に入った」という状況を描く彦いちの巧さが光る。

『彼女は幽霊』は都心の家賃格安な事故物件に入居した36歳の独身フリーターが、部屋に出る若い女性の幽霊と仲良くなる噺。24歳ながら昭和の匂いがする彼女と共に、男は近所の飲み屋に通うように……。爆笑しながら心がホッコリする白鳥ならではの純愛コメディ。

メンバー全員が持ち味を発揮した「ひとつ屋根の下」。満足度100%の見事な公演だった。

次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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