広瀬和生の「この落語を観た!」vol.39

8月8日(月)夜
「林家きく麿独演会“二丁目の夜はふけて”第36夜」(8/3の会の配信をアーカイブで視聴)

広瀬和生「この落語を観た!」
8月8日(月)夜の演目はこちら。

林家十八『からぬけ』
林家きく麿『ダレダレダイエット2』
~仲入り~
林家きく麿『ブラジル産』
林家きく麿『千両みかん』

ダイエット部と言いながらジャンクフード食べまくりのメタボ3人組のうちの1人が「痩せてみたい」と本当にダイエットに挑戦する『ダレダレダイエット2』。痩せる気のない2人の果てしないジャンクフード話の“どうでもいいバカバカしさ”が素敵。こういう会話のセンスはきく麿ならでは。

夏祭りに好きな女の子を誘った男と、彼のことは好きじゃないけど夏祭りに付き合った女の子。この温度差が生む会話のズレが可笑しい『ブラジル産』。ブラジル産ササミ屋台の店主の“巻き舌”が彼女の「“ブラジル”って巻き舌で言いたい」欲望を刺激して……という急展開の意外さがきく麿の真骨頂。

『千両みかん』は「うちの若旦那が」という事情を番頭から聞いたみかん問屋が「それならこれはお見舞いや、持っていきなはれ」とと言ったのに「いえ、手前も商人、そういうわけにはいきません。お代はお支払いいたします。幾らですか?」と言ってしまったために「では千両いただきます」と言われてしまう上方の演出。主殺しは磔だと聞いた番頭が「磔はいかに悲惨か」を聞いて怯える様子の可笑しさが印象的な一席。


次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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