広瀬和生「この落語を観た!」vol.24

7月23日(土)
「集まれ!信楽村」@神田連雀亭

広瀬和生「この落語を観た!」
7月23日の演目はこちら。

柳亭信楽『鰻屋』
三遊亭遊七『二階ぞめき』
~仲入り~
柳亭信楽『めぐみさん』

信楽の『鰻屋』は、鰻と共に外に出て行った店主が八百屋に激突して鰻を手放してしまい、あたりを見渡して鰻を発見、「やっと捕まえた!」「それゴボウですよ」というクスグリが印象に残った。

『めぐみさん』はユーチューバーの友人が“めぐみさん”という幽霊が出る心霊スポットで撮影しようとするのに付き合った男の噺。友人は撮影に失敗したが、帰り支度をしているとスコップが突き刺さって血まみれのめぐみさんの姿が見えた。慌てて帰宅すると、友人の携帯を間違えて持って帰ってきてしまったのに気づく。すると携帯に着信があり、出てみると「私、めぐみ……今からそっちへ行くわ」と。「めぐみさんが家に来る!」と怯えていると、また着信。「私、めぐみ。いま駅」 しばらくすると、また着信。「私、めぐみ。二丁目に着いたわ」 段々と近づいてくるめぐみさん。

そこからの意外な展開で爆笑を呼びつつ、最後はホラーなドンデン返し。怪談と思わせてギャグに持っていき、最後はゾーッとさせる見事な構成は、さすが信楽。ラストへの伏線も序盤でしっかり仕込んであったのも素晴らしい。夏に聴きたい“可笑しくて怖い噺”。信楽の創作力に改めて感服した。


次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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