広瀬和生「この落語を観た!」vol.23

7月22日(金)
「新しき哉!! 特別編 三遊亭兼好独演会」@シアタートップス


広瀬和生「この落語を観た!」
7月22日の演目はこちら。

三遊亭兼好『かぐや姫』
みま(ミュージッククラウン)
三遊亭兼好『ナウシカ~七段目』
~仲入り~
三遊亭兼好『PTAブルース』

兼好には珍しい“新作落語限定”の独演会。劇団「熱帯」主宰の劇作家/演出家の黒川麻衣氏による演芸イベント企画「娯楽百科」の5周年を記念して7/22~24の3日間6公演行なわれたイベントの一環として行なわれた独演会で、過去に演じたことのある黒川麻衣原案の新作落語『PTAブルース』を再演。『PTAブルース』再演だけでなく“新作限定”の会であるということを兼好が知ったのは7月になってからだという(笑)。

『かぐや姫』は、月の世界に戻って許嫁の天帝と結婚したものの、天帝の性格に嫌気がさして離婚したかぐや姫が、下界でモテモテだったのを懐かしく想い、再び地上に戻る噺。そんなかぐや姫を待っていた皮肉な展開……。兼好演じる“ワガママで怠け者だけど憎めない”かぐや姫のキャラが楽しい一席。

『ナウシカ~七段目』は歌舞伎版『風の谷のナウシカ』に夢中で日常生活でも『ナウシカ』の台詞ばかりという若旦那の噺。やはり『ナウシカ』好きの定吉と二階で“ナウシカごっこ”に興じ、父親に「七段目の猿真似か?」と言われて「いいえ、オウム(王蟲)返し」でサゲ。お見事!

『PTAブルース』は、次期PTA会長を決める“互選会”で、誰もやりたがらないPTA会長を押し付け合うドタバタ。強権的な現会長に騙されて集められた保護者たちが選んだ結論とは……? 爆笑のうちに進んでいくドタバタは兼好の真骨頂。最後はちょっと人情噺風の展開から皮肉なオチへ。普通の独演会でもたまにやってほしい傑作だ。

次回の広瀬和生「この落語を観た!」もお楽しみに!

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