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#22 トワイライト・ハイウェイ/ボズ・スキャッグス

 「ウィ・アー・オール・アローン」は、リタ・クーリッジのバージョンを最初に聞いた気もするし、ボズのバージョンを先に聞いた気もする。「みんな一人ぼっち」という訳も好きだし、あえて「二人だけ」と付けた邦題も素晴らしい。どちらの邦題もかなり奥が深い。

 【シルク・ディグリーズ】【ミドル・マン】と順調にヒット作を出したおかげで、完璧な選曲のベストアルバムができてしまった。やはりオリジナルアルバムを聴かなきゃね!、という意見には基本的に同意する。だがしかし、ベスト盤需要は重要である。

 オリジナルアルバムか、ベストにするか問題。親のすねかじりライフを送る中高生にとって、この選択は死活問題だ。ヒット曲が多ければ多いほど、ベスト盤の破壊力は増す。いわゆるビッグネームでヒット曲多数の場合、財力に乏しい中高生は迷わずベスト盤のお世話になる。

 私の所有物で列記すると、エア・サプライ、モンキーズ、ザ・フー、ホール&オーツ、ジョイ・ディヴィジョン、ブレッド、はっぴいえんど、ミカバンド、エルヴィス・コステロ、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、スパンキー&アワ・ギャングなどなど、最初に買ったのがベストアルバムというアーティストも多い。

 ボズ・スキャッグスの【ヒッツ!】は、中学生のころ「二人だけ」目当てに購入したのだが、とにかくイイ曲揃いなのだ。数あるベスト盤の中でも秀逸な内容だ。「ロウダウン」「ジョジョ」「ハリウッド」「ミス・サン」などのアップテンポの曲も素晴らしいが、やはりバラードに惹かれた。ライナーに映画主題歌と記述がある「燃えつきて」は、どこかで聞いたことがあった。そして「トワイライト・ハイウェイ」は、間違いなくTVで聴いたことがあったが思い出せない。例によって、カセット落としで聴取するのだが、この曲ばかりをリピートしてしまう。サビが素晴らしい。 “~on wings of the night once again~” 。まさしく翼を広げている様子が浮かぶ。

 原題は“You Can Have Me Anytime”なのに、この邦題とはいかに。厳密には邦題も英語、いや英単語の羅列なので、邦題といってよいのかも怪しい。日本のレコード会社がつけた邦題。ラリー・リーの“Don’t Talk”を「ロンリー・フリーウェイ」にした事例同様、かなり珍しいイメージ戦略だ。どちらも道路つながりなのは偶然か。

 かつて、トヨタ系の自動車販社様にスポンサーとしてお世話になっていたことがあった。番組提供、スポットCMのみならず、新型車リリースの際の社員大会などイベントの運営も任せていただいていた。ある時、設立50周年の動画作成を依頼され、さまざまなトヨタの素材をお借りした。その中にクレスタという車のCM素材があった。動画を視聴してハッと気づいた。そのバックで流れていたのが、まぎれもない「トワイライト・ハイウェイ」であった。そうだ!このCMだったのだ!中学生の頃を思い出し、また何度もリピートして見てしまった。

 80年代のクルマのCMは、おしゃれでカッコ良くってアートだった。タキシードの山崎努もキマっている。“♪Welcome To VISTA♪”のサウンドロゴも懐かしい。間奏のギターソロは、カルロス・サンタナが弾いている。彼のギターはすぐわかる。そして「燃えつきて」もクレスタのCMソングだったことを知る。この2曲は、どちらもデヴィッド・フォスターがソングライトに関わっているので雰囲気・曲調が似ていて、2曲を脳内マッシュアップして歌うのがひたすら気持ちよい。ブルースマンからバラードシンガーとなったボズの象徴的作品である。


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